郊外住宅団地の実態と再生

「郊外住宅団地の再生〜コトづくりから住民主体のまちづくりへ〜」

 

(6) まとめ

 まとめますと、取り組みには三つの柱がありまして、1つ目は全居住者を巻き込んでいくということ、2つ目はまちの魅力をもう1回つくること、3つ目は民間企業である以上はビジネスモデルにそれを転換していかないといけないということです。この三つをバランスよくやらないとどれかだけを一つだけやってもまちの再生はできないということが分かってきました。
 ここをバランスよくやらないと、会社からは何のためにやっているのかと言われますし、逆に居住者の方達は、結局お前たちは儲けるためにやっているといわれてしまうという。非常に難しい、相反するものをバランスよくやっていかないといけない。早く進めないと、郊外住宅団地の衰退は津波のように一気に来るのです。団塊の世代が75歳以上になって、介護ニーズがとても大きくなり、手の施せないような状況になってしまう。少なくともこの3〜5年ぐらいの間に、全部の団地の再生はまず難しいと思うのですが、まず残せる団地はみんなの知恵を絞って残さないといけない。時間はないということいつも言われています。まさにその通りだと思っています。これから1、2年かけて2020年までには上郷ネオポリスに関して、成功モデルに持っていきたいなと頑張っていく所存でございます。

【質疑応答・意見交換】

成熟研委員:ありがとうございました。2点質問させてください。住団連成熟研では八王子市の北野台団地の再生に取り組んだことがあります。その時に子育て世代の魅力のあるまちづくりには子育て支援拠点が必要ということが分かり、空き家やシャッター街化したセンター用地を使うとか色々な話があったんですけれども、結局は自治会館を増築してそこを子育て拠点として、地域の方が仕事にするということを行いました。子育て支援をどうするかという話が1点。それから空き家をリノベーションして地域の活性化に繋げるというのは、これからの必須だと思うのですが、その場合問題になってくることがステークホルダーである持ち主との合意を取るということです。持ち主が施設や病院に入られたとか、相続した子供が遠いところに住んでいてなかなか家に帰ってこれないとか、そういった状態にある場合、持ち主との合意をどうするか。全居住者を巻き込むだけでなく持ち主の方をどう巻き込んでいくかについて教えていただきたいと思います。
瓜坂氏:子育て世代の支援拠点については、小学校の利活用が出来ればと考えています。場所的にも中心にありますし、昔の小学校の教室を想像すると分かるように、広さも丁度いいので。居住者の中の子育てを終えた元主婦の方もたくさんいらっしゃるので、その方たちにお手伝いを頼もうかなということも考えています。さらに教室を働く場としてリノベーションできればなと考えています。これから週の内2日は自宅や近辺で仕事して、週に3日は東京や横浜の仕事場に行くというようなワークライフバランスを求める若い人も増えてくるのではないかと思います。空き家については、現在のところ上郷ネオポリスに空き家はそれほどありませんが、空き家になりそうなお家があります。ですから空き家所有者がどこにいるか分からないというような状況になる前に、コミュニティ拠点の近辺に、相談センターをつくって、ご自宅に関する色々な相談を受け付けたいなと思っています。押しかけてそろそろ空き家になるのではないですかなんて言うわけにはいかないですけど、受け身ではなく、仕掛けてきたいと考えています。