高齢者住宅関連を含めて来年度の状況等について

【質疑応答・意見交換】

山口教授:高度成長期時代は理念と市場が非常に一致していて、こういうものをつくりたいというものを市場がサポートして、それで都市が拡大していきました。しかし、成熟してしまった時には、理念と市場がなかなか一致しない。サ高住に関してもこういう風に進めていきたいというものがあっても、なかなか市場が一致しなくて難しいということがあります。市場と理念が一致しにくい時に施策としてどういう風に誘導していくのが1番効果的なのかを考えながらうかがいました。私は、情報をどう伝えるかというのが、これから重要なのではないかなと思っております。先ほどご講演の中の石川県と東京都で看取りの場所の違いに大きな差があることは、私の調査の感覚でいきますと、地方の方が情報は少なく、ケアマネや病院任せになってしまう。高齢期の住まいの第三者評価だとか、もう少し情報を分かりやすく伝える方法について教えていただければなと思います。
多田課長:先生がご指摘のように、情報をいかに出して、それを利用者、消費者に適切にご判断いただくかということが、非常に重要だと思っております。第三者評価についても新年度から、業界団体などでそれに近い動きが出てくるのではないかなと期待をしております。私どもも、協力できるところは協力していきたいと考えています。
成熟研委員:先程の東京都と石川県の看取り場所の違いというのは、都市のコンパクトさの違いが出ているのかなと考えます。都市がある程度コンパクトであれば近くに病院もあるし、生活支援もあるしで、終末期を家族と過ごすことができますが、地方では病院にいかなければ対応できないということなのかなと思いました。新潟市での立地適正化計画とサ高住の促進税制をリンクさせる取り組みを紹介いただきましたが、立地適正化計画をまだつくっていない市町村もたくさんあり、そこのところをどのようにお考えかをお聞かせください。
多田課長:新潟市においては立地適正化計画とリンクさせてメリハリをつけていますけども、これはユニークな例で、ほとんどのところでメリハリづくりはなされていません。条例で独自にできる仕組みですので、各市町村の状況に応じて選択していただきたいと考えています。
吉田座長:セーフティネット住宅を更に推進する上で、住宅メーカー側に何か期待するものとか、もっとこうやっていいと提案してくれというものがあれば教えて下さい。
多田課長:セーフティネット住宅は基本的にはストック、空き部屋、空き家を使ってということになりますので、ハウスメーカー様が長年お付き合いある郊外団地にお住まいの方を考えてみると、住み替え後の空いたお家をどう使うかになるかと思います。セーフティネットの対象は低所得の方、障害者の方、高齢者の方となかなか普通にお部屋を借りようと思っても借りるのが大変だという方々で、家賃水準とコストが見合うのかということがあります。サ高住に入られる方のご自宅が空き家になり、そこをうまく回していくようなことを考えてくれる方がどなたかいらっしゃらないかと期待しています。
吉田座長:来年度のモデル事業で、特に対象者の要介護度や自立度というのはこういうものだという想定はありますか。
多田課長:いえ、そういうのはございませんのでこういう対象に対してこういう事業をという提案をしていただきたいと思います。


以上