(3) サ高住の居住者
- サ高住の事例で申し上げますと、浦安市の「銀木犀」は駄菓子屋が併設されています。これは、入居者のおばあちゃんが店番をして、そこで小学生が放課後お菓子を買った後は宿題もしてという形で交流が生まれているものです。
- 輪島KABULET (輪島市) は、シェア金沢と同じ、社会福祉法人佛子園が取り組まれているものです。シェア金沢は病院跡の大きな敷地の中に新たに施設を色々つくったものですが、こちらは街中の空き家や空き地をリノベーションして、拠点施設 (温浴施設・レストラン・児童発達支援・事務所) やサ高住、グループホーム、ショートステイ、健康増進施設 (ウェルネス)、子育て支援施設 (ママカフェ・ボディケア) をつくり、街全体で“ごちゃまぜの街”として暮らしましょうということに取り組まれています。これらの施設以外にも自動運転のテストや、輪島の街中のCCRCといた取り組みもされています。
- サ高住の戸数は2019年1月末時点で約24万戸です。戸当たり面積は平均22m²で、63.1%が18〜20m²です。要介護3以上の高齢者が約3割と、介護付き有料老人ホームと同じくらい、要介護の高い方々がいらっしゃいます。事業者は介護事業者系が69.7%で、ハウスメーカーは0.4%です。併設施設があるサ高住も8割位あって、併設施設の種類は、通所介護事業所 (44.9%)、訪問介護事業所 (41.2%) が多くなっています。食事提供サービスは約96%、入浴等の介護サービスは約48%が提供しています。サ高住の立地は、市街化区域が7割弱で、駅から遠いところや、医療機関へのアクセスの良くない立地のものもあります。コスト面では家賃と共益費とサービス費用を入れまして10万円位が全国平均です。
- 開設してからの年ごとの入居率を分析しますと、開設当初の入居率はかなり低いのですが、2年を過ぎますとある程度80%を超えて安定してくるということがわかります。開設後2年未満の住宅を除くと2017年度の入居率は89%となっています。
- サ高住は登録制度で事業を廃止するときなどに抹消の手続きされるのですが、入居者がいる中で例えば倒産みたいなことが起こると問題になりかねないということで、今どういう状況かを調べますと、ストックに対して約1%の率で抹消が行われています。ただし、大多数は入居開始前の事業見直しで止めているパターンがかなり多くなっています。入居後につきましては、別の事業者が引き続きサ高住をやるとか、あるいはサ高住ではなくて有料老人ホームをやる、というようなことで、入居者のいる施設で倒産が起きて、何か大変な事になったということは、今のところはありません。
- 昨年来、サ高住の運営情報を取るようにいたしまして、様々な分析ができるようになってきました。その一部を紹介させていただきます。
- 右表のようにサ高住を住戸面積と設備の状況から9つに分類すると、25m²未満、台所・浴室がお部屋にはないタイプが、1番多い戸数になっています。そしてこのタイプのサ高住に住む方の83.9%は要介護高齢者です。30m²以上で台所・浴室がフル完備されているサ高住に住む方での要介護高齢者は28.7%です。
- 高齢期の住まい探しの特徴としては、元気な方々は本人や家族が探したという一方で、要介護度が高い方はケアマネージャや病院、あるいは専門の紹介会社経由での入居でした。
- ここから見てとれることは、25m²未満、台所・浴室がお部屋にはないタイプに住まわれている方々は有料老人ホーム等とも比較しながら結果的にサ高住に入ってきた方々ではないかということです。