色彩

 色はまちなみの印象を大きく決定づけます。古くからの建物が保存された町では、近郊で得られる建材をそのまま使うため、その素材色で町の雰囲気を形作ります。例えば、パリ独特のベージュの石材と黒色のスレート屋根、ディジョンの白色石材とカラフルな屋根など、観光ガイドの本にも典型的にあらわれる風景となっています。

 近年、建材は自由に選ぶことができ、また、塗料も自由に選べるようになってきた結果、まちなみの色彩的なまとまりがなくなり、景観的な価値が薄れてしまっているように思えます。個々の家に、地区の色彩的な特徴を活かすことで、まとまりを持たせ、まちなみを良くしていきたいですね。。

 まちなみを構成する主な色彩が統一されていると、独特の良さが生まれます。写真は、ボローニャのまちなみを上から見たものですが、類似色でまとまっていることがよくわかります。

ボローニャのまちなみ


 ただ、必ずしも、似た色にしてしまえば良いというわけではありません。下の写真では、青系の色と茶系の色をうまく対比させ、彩度(あざやかさ)を抑えることで、色彩的なまとまり感を出しています。伝統的なまちなみには、味のある優れた景観が多いですが、それは、素材を限定することによるまとまり感に加えて、時間が経過することによって生まれる彩度の抑制効果があり、よりしっとりとしたまちなみができあがります。

オランダの新規開発地


 近隣の建物の色の使い方に注意して、色彩的な調和をとるように注意するだけでも、ずいぶんと調和のとれたまちなみに変わっていくでしょう。まずは、ご自分のすまいから、はじめてみませんか。