講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.再生エコハウスプロジェクト

・中庭
もともと中庭があったところは、床はソイルセラミックタイル張りでガラスの屋根をかけて、光は取り入れながら半屋外空間の雰囲気を楽しんでいます。同時に外壁面積も減りました。ただしガラス屋根は夏に最大の弱点になり、よしづを上にのせています。
ここに新しく薪ストーブを置きまして、ちょうど家の真ん中、へそのような中心的存在になっています。冬は暖炉の前にリビングのソファーベッドを持ってきて、スツールも置いて、火に当たりながらお酒を飲んだり、くつろいだりします。熱が上に逃げないように不用の障子を再利用し天井高で水平に置き、蔀戸のようにロープで下から開閉して活用しています。春から秋にかけては家具を変えて、朝や昼の食事やお茶の時間に利用します。

・建物緑化
建物緑化や雨水利用も行っています。屋上テラスは元は防水層がむき出しだったのですが、テラコッタタイルを張り、ウッドデッキで床を仕上げ、コンテナでかなり本格的な植栽スペースをとって灌木、中木、草花を植えています。ここの家具類とか、レンガ積みの花壇は自分たちで作りました。
この家にもし意思があったとしたら、これだけ若返ってお化粧してもらって、中に楽しい暮らしがまた蘇っているから、すごく喜んでいるのではないかと思います。

・設計の過程
買ってから住み始めるまでは7ヶ月でした。買う前から予習をして企画書ができていたので、研究会で検討して企画設計で合計4ヶ月。施工は2ヶ月半くらい。コーポラティブハウスは意思調整がたいへんですけれど、一家族で意思決定するのはすごく早いですよ。戸建ての良さの一つでしょうね。
家を探す時も、予習と企画書が頭に入っていて、新築でもそれを考えていましたし、中古住宅でもそれを適応できるかという目で見ていました。あらかじめ自分のイメージを膨らませながら家を探していて、物がきたからそれに決めたという感じでした。

・図面保管の重要性
今回は50分の1の図面と構造計算書もありました。構造専門家にそれを見せると、壁をぶち抜いても大丈夫とお墨付きがもらえました。家を買ったら改修のために設計図はずっと取っておいた方がいいですね。ドイツではゲボイデパス(ビルディングパスポート)という建物に関する書類をファイルとしてきちんと調えるシステムが試みられています。それは建物の年間エネルギー消費まできちっと出してあって、不動産流通にそれがついてくる。むしろこの建物がいかにていねいにメンテナンスされて、こういう性能を持ったものであるという証明書を、専門家に頼んで数十万円で作るのです。住宅を長く使うにはこんなサブシステムの充実が大事ですよね。


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