講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4.越前浜への移住者
鈴木:  星名さんのように余所から移り住んだ人は何名ほどいるのですか?
星名:  現在の越前浜には建物が250戸くらいあって、人口は800人くらいです。私たちみたいに外から入ってきた人は私の知る限り20人くらいはいるでしょうか。職業はアート関係者が多いですね。陶芸作家、書家、画家、ガラス作家、それに学芸員の方もいますね。アトリエとしてだけなら彫刻家の方もいます。それから大学職員の方も住んでいますが、音楽が趣味でグランドピアノを持っていたりします。
鈴木:  そうした方々が住み始めたのはいつ頃からですか?
星名:  以前からと聞いています。私が知っている一番古くからの方は13年くらい前から住んでいる画家の方です。
西田:  年齢層はどうですか。星名さんと同世代の30歳代が多いのでしょうか
星名:  30歳代前半と60歳代前半くらいの方が多いように思います。40歳代くらいの方は少ないように思います。
松村:  40歳くらいは人生で沈む頃なんですよ。それまでの希望に燃えて柔らかかった人生が固まってくる。仕事もきつい時期ですしね。
星名:  確かに妻も私も移ってきたのは、30歳代前半くらいのもう一回奮起しようという時期でしたね。一方で60歳代になると子育ても終わり仕事も区切りの時期だったりします。こうした方々は、新たな暮らしの場所としてここを選んでいるように感じます。
西田:  越前浜のもともとの住民はどうやって生計を立てているのでしょうか。
星名:  以前は半農半漁と聞いています。でも漁業権を持つ人は一部のようです。多くは農業で、お勤めと兼業かと思います。昔は毒消し売りで有名だったようです。この地域で作った「毒消し」という名の薬を、お母さん方が関東方面に売りに行っていたそうです。
松村:  新潟なのに地名が越前浜ということは、越前に由来する集落なのでしょうか。
星名:  朝倉氏の関係と言われています。西遊寺という浄土真宗のお寺様がありますが、そのご住職と分家の方が朝倉姓でいらっしゃいます。村の成り立ちについてはいろいろな言い伝えや史跡が残っています。



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