講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.CET(Central East Tokyo)の開催
馬場:  そうこうしているうちに、このエリアに目をつけた人が僕だけではないということが分かってきたんです。この後にご案内しますが、新野さんのような人たちがすぐそこに引越してきていた。お互いに「あれっ、気付いている人がいるんだぁ」ということで、狭いエリアなのですぐ知り合いになって、空き物件がこんなにあるんだから何かやらない?という流れになっていったんです。

実は、ニューヨークのダウンタウンで「ダンボプロジェクト」というアーティスト参加型の再開発プロジェクト(http://www.dbj.go.jp/kansai/report/dumbo.html)を見たことがありまして、これはよく考えたな、やってみたいな、と思ったことがあったんです。僕自身も現代美術が好きだったこともあって、そうしたイベントをやらないかと盛り上がって、「CET」という企画が生まれてきました(http://www.centraleasttokyo.com/)。

CETを一言で説明すると、空き物件の思いもよらない使い方を見せることによって、その存在とポテンシャルを顕在化させる、ということになるかと思います。そこで、空き物件のオーナーのところに行って「10日間だけ貸してください、ギャラリーにしますから。その間に気に入って借りてくれる人がいるかもしれないじゃないですか」とか言ってくどいて回ったんです。
鈴木:  さすが博報堂だね(一同爆笑)。
馬場:  その辺は営業もやっていましたから。くどいて回っているうちに30箇所くらいが見つかりまして、地元の方の中には「お前が言ってだめなら俺が言ってやる」といった具合に途中から仲間になって下さる方も現れました。

地元コミュニティの協力を得て、CETは今年で5回目になります。ちょうど今日は年に1度の2週間のイベントの真っ只中なので、ギャラリーをやっている空ビルも結構あります。

プロジェクトを起こしたらとりあえず本を作るという習慣が身についていたので、2年目にはそのプロセスを「東京R計画」という本にまとめました。例えば、建築ではみかんぐみの竹内昌義さんなどに協力してもらいましたが、誰が、何のために、どのようなこと行って、それによって何が起こったのか、ということを記録と仕掛けを兼ねてまとめています(http://www.open-a.co.jp/re_mapping_tokyor/)。



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