講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6.装束店とグローバリゼーション
丸橋:  扇子など、神社からの記念品に使うような品物に関しては、中国が安く作り始めています。それはそれで仕方がないんですけれども、神社やお寺などは観光という側面も大切です。古くから続く伝統だからこそお客さんが来てくれるわけですから、ずっとそこを支えてきた品物には外国産は使わないで欲しいですよね。

以前のことですが、神主さんの沓(浅沓)をベトナムで作っていたことがあったんです。プラスチック製の浅沓なんですが、ベトナム製の方が見た目が良かった。それで、京都の履物製作業者に、このようなものが出てきているからもっときれいに作れよ、と言ったりしていました。

その時は組合で論議があって、京都の履物製作業者ももっと安くしなければいけない、と言う人もいました。ですが、やはり、価格はともかく品質を負けないようにした上で我々が守ってあげて、そこの生業が続くようにしなければなりません。プラスチック製品だけが履物ではないのでそこがつぶれてしまうと、正当な品を作ることや他の履物が出来なくなり業界にとっても良くないですから。

ただ、抜け駆けした人もいました。結局は、外国産の品物では売れなくて、廃業という形になったんですけれど…。需要が多いものではありませんから、外国の生産能力に見合わないという問題もありましたし。
鈴木:  外国での生産は量が多くないと意味がないですからね。



前ページへ  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  次ページへ  


ライフスタイルとすまいTOP