松村: |
最近ホームセンター業界では、プロ向けに建材を売る商売も始まっているし、ライフスタイルとの関係も持っているんだけど、僕らみたいな建築生産の分野だと、物がああいう風に流通すると、透明化、つまり物の値段が分かってしまうという変化に注目している。そこでプロが買うようになると、プロが結局いくらで買っているか分かるようになるわけだから。
材料費と工賃がいったいいくらなのか、今までは材工一式いくらと言っていて、生産している人は当然マージンも持てるし、流通のひとつのチャンネルになっている。それが、工務店でも専門工事業者でも、物が全部同じ値段になってくると生産流通という面ではかなり変わる可能性がある。それで、僕らは注目してきたんだけど、それが今動き始めている。
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鈴木: |
松村さんが今度出された「建築とモノ世界をつなぐ」(彰国社)を読んでいたら、ホームセンターは現金取引が前提なのでプロは使いにくいと書いてあったけれど。
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松村: |
それが最近、信販会社と組んで、そっちに与信管理をしてもらって、手形決済じゃない形で物を売るということを始めているホームセンターも出てきたみたい。現金じゃないと回収できない恐れがあるから。
ホームセンターが現金でしか売らないというのはそれで、不特定多数の人に、例えば、西田さんとか鈴木さんとか僕とかがホームセンターに行って、「つけにしておいて」といわれたらものすごく困るわけですよ。「俺松村だから」とかいって名刺置いていくようなものでしょ。工務店が買いに来て、手形を渡して帰っていかれて、手形が無価値になる可能性もある。
だから、ライフスタイルとの関連でいくと、多分ひとつはそういうことがあるんじゃないかな。自分の住む環境を整えるのに、自分できちっと知りたいという、中身もお金の話もね、そういうムードが世の中にあるんじゃないかな、きっと。
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