「障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック」の解説

(4) 障害者が居住する住宅の設計に関する考え方

 

1) 生活の流れや全体の配置に対する配慮

スペースに限りがある中では、脱衣所 (洗面) を介してトイレと浴室が配置されていることで、トイレと浴室の使用時に各単位空間の戸が閉められない場合であっても、脱衣所 (洗面) の戸を閉めることで、プライバシーを確保することが可能となる。
入浴に際し、車椅子上やシャワーチェア上では衣服の着脱が難しく、寝室のベッド上で衣服を着脱する場合があるため、寝室から浴室への動線や住戸内の温熱環境にも配慮することが有効である。
室内用、外出用の車椅子を使い分ける場合には、玄関や玄関付近での車椅子の乗り換えが生じるため、車椅子を2台置くことが出来るスペースが必要となる。

2) アジャスタブル・アダプタブルの考え方

 <アジャスタブルの例>
収納スペースの建具等を取り外すことでスペースを確保する、トイレと脱衣所 (洗面) を連続的な空間とし、その間は撤去可能な間仕切りとするなど、可変性のある間取りとする。
スイッチ、共用部の郵便受けなどの位置を低く出来るようにする。
 <アダプタブルの例>
手すりを後付けで設置できるよう、壁面内部の下地を強化しておく。
段差解消のためのスロープを後付けで設置できるよう、段差の前後に必要な空間を設けておく。
聴覚障害者が住戸内のインターホンの作動状況が分かるよう、フラッシュライト等の視覚的に情報を伝達する装置を後付けすることも考えられる。

(5) 参考プラン

 
〇パターン1:住戸面積25m²程度。トイレには、脱衣所 (洗面) を経由して直角経路でアプローチ、便器には直角アプローチ。浴室には、脱衣所 (洗面) を経由して「直角」経路でアプローチ。
〇パターン2:住戸面積25m²程度。トイレの出入口前に車椅子が転回できるスペースがあり、トイレには「正面」経路でアプローチ、便器には「正面」アプローチ。浴室には、脱衣所 (洗面) を経由して「直角」経路でアプローチ。
〇パターン3:住戸面積35m²程度。トイレには「正面」経路でアプローチ、便器には「正面」アプローチ。浴室には、脱衣所 (洗面) を経由して「直角」経路でアプローチ。パターン1,2と比べ、キッチン前のスペースを広めに確保。