「障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック」の解説

積水ハウス(株) 建築商品開発部企画設計グループ部長 根岸理香

 国土交通省が検討会を設置し、令和6年6月に策定した「障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック」は、住戸面積25m²程度の賃貸共同住宅に適用可能な、車椅子利用者が自立して生活するための設計ハンドブックです。ハンドブックですので強制力はありませんが、全ての賃貸共同住宅が単身車椅子利用者に使いやすいプラン・寸法になることを目指しています。検討会委員の根岸氏より、本ハンドブックについて、基本的考え方と専用部・共用部のプラン・寸法、及び単身車椅子利用者の住戸出入に関して、必要な検討が行われていない問題を孕んでいることなどをお話いただきました。

(1) 基本的な考え方

障害のある人も、地域において自立して単身で生活することができる住宅を設計する上で必要な配慮事項を整理する。
建築上、特に物理的な配慮を要する車椅子使用者を主な想定居住者とする。車椅子の手動・電動を問わない。
車椅子使用者による検証実験及びヒアリングで得られた結果等に基づき、基本レベルの水準や配慮事項の事例を示す。
主な対象住宅は共同の賃貸住宅とする。各部の設計水準は、建築コストや居住者の費用負担を踏まえたものとする。