柏プロジェクト
−住宅メーカーに期待するこれからの高齢期の住まい
(5) サ高住のこれからのあり方
24時間対応の定期巡回介護サービスの普及はなかなか難しいことですが、このサービスが徐々に地域に根差すようになれば、大型のサ高住でなくとも、分散型サ高住において、看取りまでできます。大都市圏では大型のサ高住をこれから何カ所かつくる必要もあるでしょうが、これから大量発生する空き室利用を進めることも必要です。
サ高住としての管理体制をとったときは、高齢者が弱ってきた場合は消防署からスプリンクラーをつけることが求められますが、今はかなり低額で、天井にスプリンクラーと同じような、火災時には薬剤を撒く設備を設置することができます。空き家活用には有効でしょう。
サ高住には、市町村単独による補助金はありません。柏市では、公有地を安く貸し出して、賃料の安いサ高住提供を進めることも検討しています。
今のサ高住の7割は介護型居室です。これからは、より居室面積の広い普通の住まいに、地域の拠点からの24時間対応介護サービスを受けて住み続けることができるモデルを展開すべきと考えています。
(6) いかにして地域包括ケア体制をつくるか
いかにして、24時間対応サービス提供拠点を核とした地域包括ケア体制をつくるかについてですが、札幌市で柏プロジェクトの拠点運営開始の1年前から、特養を核とした、柏プロジェクトとほぼ同じ内容のサービスを行っている、社会福祉法人ノテ福祉会というところがあります。そのノテ福祉会を始め関係者が政策提言していることの1つは、市町村が、24時間対応サービスが提供される特定圏域を指定し、さらにサービス提供拠点の数も決めて、公募して下さいということです。24時間対応サービスはリスクを伴いますが、特定圏域のサービス提供拠点数が決まっていれば黒字展開が可能です。これは重要なことです。現在は介護施設や特定施設の施設数や入所者数を市町村が決めていますが、24時間対応サービス提供拠点数も同様に決めておくというものです。
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