講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4. 持続可能な組織を作るーまちにわ ひばりが丘
鈴木:  エリアマネジメントについてお聞きしたいと思います。そもそも持続可能な組織が求められていたとのことですが、具体的にはどういった組織を作り、どのように運営していったのでしょうか?
荒:  ひばりテラス118を運営しているのは「一般社団法人まちにわ ひばりが丘」という組織です。運営メンバーは、ひばりテラス118に常駐するスタッフとボランティアの方々です。旧ひばりが丘団地エリアにお住まいとは限りませんが、みなさんこの地域の住民です。エリアマネジメントに充てられる資金は、土地代の数%と上限が決まっていますので、それに依存せずに経済的にも自立できるよう、自走できる組織にすることを目指しました。具体的には、新たな住民から会費を集めたりカフェなどのテナントを入れたりして収入源を確保しつつ、人材も地域から雇用しました。発足時は大和ハウスや住友不動産はじめ開発デベロッパーも一般社団法人のメンバーに入っていましたが、再開発が完了した2020年に抜けまして、現在は住民主体の運営体制に移行しています。
松村:  企業がお金を出して運営組織を作り、ある時期に抜けていくというのは、新しいモデルになりますね。
荒:  こうした仕組みは地域事情にも合っていたんだと思います。手始めに60〜70人くらいの住民にヒアリングしたところ、西東京市は自治会がないこともあって逆に老若男女の市民活動やNPO活動が盛んなんです。団地の自治会も比較的オープンで、自分たちで幼児教室を運営していたりします。この辺りの地形は平坦なので、自転車で15〜20分くらいの距離まではマーケットとして期待できるのではないかと考えました。オープン当初はあまり人が集まりませんでしたが、英会話や書道の先生方が教室として使い出してくれて、周辺住民の利用も広がっていきました。それから有名ブロガーの方がカフェを取り上げてくれたんですね。それが大きな反響を呼んで、今では全国からお客さんが訪れるようになっています。
鈴木:  ひばりテラス118のエントランスに小さな箱があります。そこに置かれた手作りの品々は販売されているようですが、どういった形で運営されているのでしょうか?
荒:  1箱3000円くらいで借りて頂くレンタルボックスになっています。「HACO NIWA」と呼んでいまして、まちにわひばりが丘が管理しています。箱は40個ほどあります。物づくりは好きだけど売る場所がないという方はたくさんいるんですね。現在、全ての箱が埋まっていて、出店待ちの方もいます。将来的にはお店を出したいというような方もいらっしゃるので、そうした方々に声がけしてマルシェを開いたりもしています。




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