講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3. 原風景としての公団住宅
松村:  2010年前後のことですが、ルネッサンス計画というストック再生実証実験がURの多摩平団地やひばりが丘団地で行われました。あいにく自治体や消防庁との協議がまとまらなくて、カフェなどは入りませんでした。ひばりが丘団地の再生事業が始まった頃には、積み残した課題に取り組めないかというムードがUR内部にあったのでしょうね。
荒:  ディベロッパーにエリアマネジメントを課すだけでなく、UR自身がもっと主体的に関われないかということも議論されていたようです。ひばりテラス118では、耐震補強を含むスケルトン整備をURが行った後、ディベロッパーがコミュニティスペースづくりを引き受け、その企画運営をHITOTOWAに任せて頂くことになりました。
鈴木:  UR団地の建替えでは、歴史性を考慮してスターハウス等が保存されることもあります。ひばりテラス118になったテラスハウスの場合、保存が意図されたというより、たまたま残っていた建物のようですね。
荒:  少なくとも現在のような使われ方は想定されていなかったと思います。外にテラス席があったりするので、天気が良い時にはこうした場所でご飯を食べたりするのも気持ちいいですし、私の場合、気分が冴えない時はテレワークにも使っています。
松村:  建物のスケール感も合っていますよね。ひばりテラス118の周りは戸建住宅地になりましたから。
荒:  かつてテラスハウス棟に住んでいた方が、時々訪れてくれたりします。そんな時にはこの建物を残す価値を改めて感じます。彼らにとって、公団住宅は故郷の風景なんですね。




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