講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』
金沢のリノベーションプロジェクト
小津誠一さん
金沢出身の建築家。有限会社E.N.N.を金沢で設立し、建築設計だけでなく不動産仲介や飲食店経営にも取り組んでいる。




1. 京都で独立するまで
2. 21世紀美術館のインパクト
3. 東日本大震災と事務所移転
4. HATCHi金沢
5. 八百萬本舗(やおよろずほんぽ)
6. 金澤町家などの活用
7. 八百屋松田久直商店
8. 金沢から世界と繋がっていく
9. まとめ



1. 京都で独立するまで
松村:  小津さんは金沢で様々なリノベーションプロジェクトを手がけている建築家です。同時に金沢R不動産を運営したり、飲食業を手がけたりもしています。まずは小津さんのプロフィールからお話し下さい。
小津:  設計のキャリアは新井清一さんの事務所で始めました。新井さんはMORPHOSIS ARCHITECTSから独立された方で、日本で彼らのプロジェクトを担当したりしていました。バブル景気がはじけるとそうした仕事は無くなりましたが、当時はオープンコンペがたくさんあった。かなりの確率で入選していたので、その賞金で食っているような感じでした。入選賞金でも結構な額でしたから。
1995年から2001年までは新井さんの縁で京都精華大学の非常勤講師を務めました。実質的に常勤スタッフのような立場です。この時期に京都で独立しましたが、何も縁がなかったので京都を飲み歩きまして、その伝手で小さな店の設計をしていました。
鈴木:  京都ではどの辺りにお住まいでしたか。
小津:  平安神宮の近くに2年ほど住んだ後、京都御所の近くで改装できる町家を借りました。当時の不動産屋さんはそういう物件を教えてくれないので、自分で探してオーナーに直談判しました。ちなみに学生時代は大学近くの旧都営住宅を借り、ボロボロの木造平屋をリノベしながら住んでました。米軍ハウスに憧れていたんですけど、縁がなくて入れなかったんです。



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