講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.五感に訴えかけるセンシュアスな街とは?
木下:  センシュアス・シティ調査によって、街を選択する理由と生活実感の結びつきがかなりクリアに示されましたよね。
島原:  今回は134自治体の調査を行っています。都道府県庁の所在地と政令指定都市を対象にしましたが、東京都は23区、横浜市と大阪市は区に分けたのでこうした数になっています。センシュアス・シティ・ランキングの上位は、東京の区部が占める結果となりました。大阪中心部も上位に来ています。こうした自治体を見てみると、色々な要素が密に集まった街であることに気付きます。実際、1位の東京都文京区には東大のような文教施設がたくさんあると同時に、谷根千と呼ばれる下町もあれば高級住宅地もあり、旧花街がある一方で大名屋敷跡の公園もあるといった具合です。対照的に、ベッドタウンエリアにある単機能の街は概して下位に甘んじています。例えば、横浜市の国道16号線沿いには、順位の低い自治体が並んでいます。
鈴木:  東洋経済新報社のランキングなどとは随分異なる結果ですね。
島原:  東洋経済の「住みよさランキング」は、人口当たりの学校数や病院数や公園面積、新築住宅の着工数などの多さを基準に「住みよさ」が算出されています。大規模開発によって生まれた郊外のニュータウンには、こうした施設がたくさん作られているので、そちらではニュータウンを抱える自治体が軒並み上位を占めることになります。





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