講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.「動詞」で都市を評価する
島原:  センシュアス・シティ調査の最大の特徴は、「動詞」で都市を評価している点だと思います。例えば、「街を感じられること」のアクティビティとして、「街の風景をゆっくり眺めた」という項目があります。街の風景を工学的に評価しようとすると途轍もなく大変ですが、皆が眺めた風景なら何らかの価値があるはずです。「活気ある街の喧騒を心地よく感じた」というアクティビティもありますが、活気というものは通行人数の多寡ではなく、結果として心地よく感じたかどうかで測るべきだと思うんです。「自然を感じること」という指標も同様で、緑被率や公園面積率が重要なのではなく、感じたかどうかが大切だと考えています。
例えば、東洋経済新報社の「住みよさランキング」は、施設数や税収といった客観的に観測できる公的統計に基づいています。一方、SUUMOの「住みたい街ランキング」は、「住みたい」という主観的な申告に基づきますが、メディアで頻繁に紹介される街が上位に来ていて、こちらの結果が知名度に左右されていることは否めません。このように「観測−申告」と「主観−客観」という二軸で整理してみると、実はセンシュアス・シティ調査で集めたデータは、申告データでありながら客観データに位置づくことが分かります。今回のアンケートで求めた回答は「○○した」という行動の有無なので、回答者が虚偽の申告をしない限り客観的な事実なんですね。





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