講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


11.山晴荘オーナーインタビュー4
鈴木:  考えてみると、賄い付き下宿も一種のシェア生活でしたね。でも、我々の学生時代の後くらいから敬遠されるようになって、ワンルームマンションなどが増えていってしまった。
山口:  小うるさいおばさんがいて門限があるとか、そういうことが受け入れられなくなったんでしょう。
松村:  ワンルームマンションに住む人がこういうところに遊びに来ると、かえって新鮮でしょうね。
山口:  少し前に泊まっていった子が感動して、帰るときにみんなにメッセージを残していきましたよ。すごく楽しかったって。

例えば、僕たちが地方に行っても観光名所を巡るだけで、地元の人と話をする機会は案外ありませんよね。そう考えると、地方都市でもこういうシステムでやれるんじゃないかと思いますけど、ダメなんですよね?
北川:  今すぐは難しいですね。風呂なしアパートと見られてしまうと話は終わってしまうので。東京でもそうですが、イメージ戦略から開始してしっかり市場を作っていかないと、なかなかうまくいきません。ただ、時間の問題だとは思いますので、僕らも地方へ拡げていきたいと考えています。
山口:  それじゃあコミュニティが出来ていないでしょう。うまくいく人数帯ってあるんじゃないかな。
北川:  確かに難しい規模があるようですね。見立さんと行った調査では、30人くらいまでは満足度が非常に高いんですが、40〜60人の規模になるとすごく落ちる。でも、70人を越えると満足度がまた上がってくる。中途半端に顔見知りになる感じが嫌なんじゃないですかね。70人を越えると街みたいになっちゃう。
松村:  こうしてお話を伺っていると、北川さんの存在が大きいですね。
山口:  そうですね。誰も聞く人がいないわけですよ。ネットで調べてもどんな設備を置くのか分からなかったですしね。もっとも、北川さんに初めて電話したときもまだ不安でしたね。断ることもあるって言われましたから(笑い)。
松村:  この仕事の夢みたいなものはなんですか?
山口:  大きいことは言えないんですが、コミュニティの場を提供できるのは面白いと思っています。ゲストハウスは楽しいです。ただ、他の物件ってすごくきれいなんですよ。古い建物を新築のようにしちゃう。僕はそれだとつまんないと思うんですね。ですから、他にないオンリーワン的な物件をいっぱい作りたいっていうのが今の夢ですね。裸電球みたいな風情を楽しめるような人たちが集まってもらえるものをいっぱい作っていきたいなと。



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