講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.一品物なら京都、量産なら名古屋
松村:  お付き合いのある下請けさんは何社ほどあるのですか?
丸橋:  50社はあると思います。その時々でまあまちまちですが、平均すると30社ほどですね。
松村:  建設業と似ていますね。工務店でもお付き合いのある専門工事業は、30社ほどですから。
丸橋:  そうですね。
松村:  装束店というのは、京都に特別に多いご商売なんですか。
丸橋:  神主さんの装束や神社の調度は、公家に由来します。もともと京都に都があったので、それらの作り手は京都に多かったのです。京都の町は平安時代からさほど発展しませんでしたが、逆にこういう職業が細々と残ったのでしょう。私達の業界のなかでは、調度品、道具類などは細かい物を作れるのは京都、大量に作るなら名古屋と言われます。
松村:  いわば、産地があるんですね。
丸橋:  そうですね。たくさん売れる品物は名古屋でも作っています。一方、京都は何でも作れるし、一個でも作れます。その代わり値段が高くなることもあります。

ですから、いまだに初めてやる仕事がきたりもします。最近の例では、木目込(きめこみ)人形の着せ替えがありました。その人形は、昭和11年に作られたんですけど、擦り切れてしまっていました。しかし、京都には等身大木目込人形をできる人が見つからなかったんです。東京にはいるんですけど、質はあまり良いとは思えません。もちろん、京都でもひどい物もあればいい物もありますけれどね。



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