社会経済的大転換に対応した
 持続可能な住宅都市デザインを考える

 

【質疑応答・意見交換】

住団連:モビリティについてですが、日本でも環境や高齢化問題に対応するものとして、グリーンスローモビリティやMaaS、自動運転などの社会実験が進められています。日本での新しいモビリティづくりにおいて、海外での取組に参考になる点があればご教授ください。
小泉教授:日本の方が進んでいる面もあります。例えば、過疎地域に対する新しいモビリティサービスの提供は、色々な補助金を使ったりしていますけれども、盛んに進められており、コミュニティの包摂についても頑張って進めています。自動運転の動きも広がっていて、むしろ、日本の方が進んでいる面がたくさんあると思っています。サンフランシスコなどアメリカ西海岸で実用化されている自動運転については日本との道路事情の違いがあります。いわゆる社会的包摂という観点からモビリティサービス提供を様々な形で進めようとしていることでは、日本がとても先行している面があると考えています。
住団連:コロナ禍において、職場には一週間に一日ぐらい行けばいいとの考え方になるという、世界的な実験が行われたかと思います。コロナ禍があったので、若い人たちが郊外に暮らすようになり、混在していくまちづくりに変わっていった面があるのかなと考えています。
小泉教授:日本がコロナ禍でどれくらい変わったのかというと、微妙なところがあるかなと思っています。世界的には、パリのイダルコ市長が再選時の2020年に掲げた15分都市の概念が、爆発的に広がりました。例えばメルボルンやポートランドでは、20分でアクセスできる都市づくりが政策化されています。近隣住区の中に働く場があり、生活が完結するという、田園都市のような形になっています。日本はちょっと取り残されているかなという感じがあります。日本の都市計画ではコンパクトシティが進められていますが、さらに小さい範囲で自立性の高い生活圏をつくるという形はあまり見られません。ただ先日、ある広告代理店の方々と共同研究を行ったのですが、その方々は、結婚していない方は都内に住んでいたけれど、結婚されている方は鎌倉や金沢、横浜に住んでいるとのことです。コロナ禍を通してオンラインで働く企業が増えており、15分都市のような生活を送る方は、統計的にはまだ3割ぐらいですが、一定数おられます。オンラインで働くことが普通になって、15分都市を自分の住まいの周辺で楽しんでつくることが重要と考えています。


以上