シニア向けの生活サービス・パッケージ「伴奏パック」の研究
旭化成ホームズ(株) シニアライフ研究所
(1) くらしノベーション研究所とシニアライフ研究所の系譜
1)くらしノベーション研究所
弊社の特徴は、ハード・技術系の研究所 (住宅総合技術研究所) の他に、ソフト系の研究所 (くらしノベーション研究所) を独立して持っていることです。この系譜は、二世帯住宅研究所 (1980年〜)、共働き家族研究所 (1989年〜)、ロングライフ住宅研究所 (1998年〜) の歩みを2007年に住ソフト研究開発組織として統合 (住生活研究所) し、2009年にくらしノベーション研究所に改称したものです。
弊社の高齢者事業は、もともと二世帯住宅から始まったものがほとんどです。二世帯住宅には、親世帯の住戸を1階に設けた、60代後半の高齢者のための住宅という側面があります。「築30年二世帯調査」(2015年公表) では、二世帯住宅の子世帯として居住していた方の76%が介護経験あるとのことでした。
1998年には「ロングライフ住宅宣言」を公表し、建物を適性な状態に保ち、大切な資産を末永く見守る「ロングライフプログラム」「60年点検システム」を制定しました。このプログラムでは、築30年まで無料で5年おきの定期点検を行い、ヘーベルハウスにお住いの方をヘーベリアンと名称氏し、彼らとのつながりを維持する仕組みを構築しています。また、3か月に1回の冊子「ヘーベリアン」配布や、5年に1度はサービス担当者が各お宅を訪問すること、連絡がつかない時にもお宅に伺って様子を拝見するといったことで、ヘーベリアンとのつながりを保っています。
2)ヘーベルヴィレッジ
ヘーベルヴィレッジは2005年に開始した高齢者向け賃貸住宅です。もともとの考え方は、介護向けではなく、ヘーベルハウスから住み替えていただく、健常な高齢者のためのバリアフリーの賃貸住宅でした。実際はヘーベルハウス以外から住み替えていただいた方々もおられます。
ヘーベルヴィレッジは月1回の訪問・生活相談サービスの見守り警備のサービスがついている集合住宅として運用しています。最大の特徴は住戸面積です。50〜70m²というかなり広いもので、二世帯住宅の親世帯が住んでおられた空間のイメージがかなりあったと思います。ヘーベルヴィレッジは、始まった頃から広い住戸面積は維持されています。
現在、弊社がヘーベルヴィレッジとして運営している物件は10棟で、その内3棟はサ高住の認定を受けて運営しています。当初はヘーベルヴィレッジとしてつくって、あとで普通の賃貸住宅としたものもありますので、ヘーベルヴィレッジ自体の建設物件はもっと多くあります。
当初のヘーベルヴィレッジは、普通の集合住宅と同様に、コミュニティスペースを設けることや医療機関隣接といったことは行っていませんでした。しかし、最近は医療機関やデイサービスが隣接するものもあります。
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