生活・ケアから住まいを考える
-介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に期待すること-
② 自己決定、自立
サ高住については、自立を促進している住宅での実態調査も行っています。調査を行った住宅の概要は住戸が12戸、入居者の心身機能は軽度の要介護高齢者が多くなっています。
サ調査結果を見ていきたいと思います。介護サービスの利用状況をみると、入居前と入居後で変化した人はあまりいませんでした。サ高住の運営事業者とは異なる外部サービスを利用している人も多く、普通にサ高住から施設外のデイサービスに通っていました。入居者の生活リズムを見ても、1日の生活リズム、1週間の生活リズムがバラバラであり、個々の高齢者の
自己決定により生活が営まれている
事がわかりました。
サヒアリング調査から生活内容を詳細に見ていくと、生活の中には譲れない行為があることがわかりました。90歳を超える女性の方は、訪問介護の方に洗濯をしてもらっているのですが、下着だけは必ず自分で洗濯されていました。90歳を超えると排泄に関するいろいろな症状が出てきます。それを他人には見られたくないという思いが、その方の行動の中には含まれていたと思います。どうしても他人に関与されたくない出来事を自分の中で維持しつづける。すべてを他人に委ねてしまうという一線を超えてしまうと自分が自分でなくなってしまう。「自分が自分であるために守り続けること」があると、この方のお話を聞いて感じました。
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