フィンランドの高齢者住宅・施設事例から見る日本のこれから
〜日・フィンでの居住者アンケート結果を交えて〜 <その2>


4) 高齢者住宅選定の理由
 何を重視して高齢者住宅を選択したかについては、日本では、ロケーション、ケアの信頼性、食事サービスが上位になります。フィンランドでは、1番はやはりロケーションで、より便利なところに移りたいということが転居の根底にあるようです。次にプライバシーの可能性と住宅のクオリティが上位になります。自然環境が上位になるところは、フィンランドらしいと思います。 fig4
5) 高齢者住宅での生活
 住宅の中で何をして過ごしているかについては、フィンランドではラジオを聞いている方がとても多く、さらにコンピューターやインターネット、読書、ハンドクラフトなどの手仕事、数独やクロスワードをやっておられる方が多いとの結果になっています。 今住んでいる住まいの満足度は、これも国民性だと思いますが、日本では「どっちでもない」との回答が日本は比較的多いですが、フィンランドでは「非常に満足している」「満足している」の回答がとても多いとの結果になっています。これはやはり自ら選んでポジティブに入居しているということが影響していると考えられます。 fig5  日本には“住まい”としての環境となっていない介護施設がある一方で、特養でありながら、ここなら住んでいいなと思うような、質の高い施設もあります。そしてサ高住の中には、住宅であるのに介護施設よりも質の落ちるものがあります。私は介護施設の質を向上させたいと考えながら、高齢者住宅にも関わっていますが、介護施設も高齢者住宅も基本的には違いはなく、人が暮らす住まいとしてのあるべき形っていうのをしっかり追求していかなければならないのかなと考えながら、研究活動に取り組んでいます。住宅会社の皆様から、色々なご意見いただければと思います。