フィンランドの高齢者住宅・施設事例から見る日本のこれから
〜日・フィンでの居住者アンケート結果を交えて〜 <その2>

東北工業大学教授 石井敏

成熟社会居住研究会では、東北工業大学教授の石井敏氏をお招きし、フィンランドと日本における高齢者住宅・施設の比較についてのお話を伺い、日本におけるこれからについて意見交換を行いました。
つづき
<その1>はこちら

(5) 日本・フィンランドにおける高齢者住宅居住者の生活に関する比較調査

1) 回答者属性
 フィンランドと日本のそれぞれの高齢者住宅における居住者アンケート調査についてご報告します。日本でのアンケートは、私も立ち上げ時にお手伝いさせていただいた学研ココファンで、2011年と2015年に調査したものです。2011年は10ヶ所の高齢者住宅の入居者230人、2015年には39ヶ所の約600人の回答をいただいています。フィンランドでは2011年に12ヶ所の高齢者住宅入居者約150人の調査をしています。基本的には比較的自立した高齢者を対象に、高齢者住宅でどういう暮らし方をしているかを設問しています。
 入居者の属性を見ますと、日本では男性6割・女性4割くらいですが、フィンランドでは女性が8割くらいになります。平均年齢はどちらも81〜83歳です。
 家族状況は、日本では1人暮らしが約8割、夫婦が約2割ですが、フィンランドでは1人暮らし約9割、夫婦は1割弱です。
 身体的な自立度については、日本では比較的自立している人が5〜6割で、フィンランドでは55%です。 fig1