講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3. 南阿蘇へのJターン
鈴木:  久永さんは佐賀出身ですよね。南阿蘇とどういうつながりがあったのでしょうか?
久永:  両親が気に入っていたんです。子供の頃から何度も来ていましたし、両親は移住するつもりで地所を購入したりもしていました。私が帰国した時には、両親は佐賀の家を引き払って南阿蘇に移っていたので、プログラマーとして挫折した後はこちらに身を寄せることになりました。雄大な自然ときれいな水のおかげで心身ともに良好な状態になり、南阿蘇で仕事を探し始めたんです。そうしたら、中松駅の近くで佐賀時代の同級生の親御さんが蕎麦屋をされていた。その方が私に飲食業のイロハを教えてくれた師匠になります。
松村:  この話の流れだと蕎麦屋さんになりそうですね。ケーキを作るようになった経緯を教えてもらえますか。
久永:  実際、師匠は私を蕎麦屋をさせたかったんですよ(笑い)。でも、蕎麦打ちが容易なことではないことが分かってきて、思案の末に行き着いたのがケーキ作りでした。と言うのも、私の母はパンやケーキを作るのが得意で、常に手作りケーキがあるような家だったんです。小学校の頃の友人たちは「久永の家に行けばケーキがある」と思っていたくらいです。母のケーキ作りを手伝っているうちに、私もケーキ作りが好きになって、留学時代には日本風のショートケーキを振る舞ったりして非常に好評でした。母は手作りケーキの販売などもしていたので、ケーキで人を喜ばすことができるという実感が私の中にあったんだと思います。叔父が厨房機器を扱っているので、カフェなら開業資金を抑えられることも大きな理由になりました。




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