講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7.組合所有による住環境の継承
西田:  増改築の費用は住民持ちですよね。住宅を買う時と売る時の値段はほとんど変わらないか少し上がっているようですが、人気があると査定があまり下がらないのですか。例えば日本では10年も経てば建物の価値などないに等しいじゃないですか。
森田:  増築をしたらその分だけ資産価値が上がるようです。ちなみに二回目の大規模修繕が計画されていて、もうそろそろスタートします。建物全体をサイディングで覆うような修繕が行われるそうです。
松村:  払い下げ以降、親から代々受け継いでいるような住宅はあるのですかね。居住年数は短いような印象を受けたのですが。
森田:  あるとは思いますが、確認できていません。一度出ていった世帯が戻ってきた話などはよく聞きますけど。
西田:  組合員である親が亡くなったら、その住戸の使用権はどうなるんですか。仮に家族全員が組合員になれるとしても、例えば長年にわたって同居していなければ組合員の資格は喪失していますよね。
森田:  引き継ぐ権利はあると思います。ただ、一定期間住んでいないと組合員資格を失うという決まりがあるので、その時点で問題化するのかもしれません。

鈴木:  引き継ぐ際にも組合員になれるかどうかの審査があるんでしょうね。いずれにしてもグリーンベルトに関するアメリカ国内での評価が知りたいですね。
松村:  「ホーム・オーナーズ・アソシエーション(HOA)」と程度問題の違いのような気もします。組合所有はHOAとどのような違いがありますか。
森田:  HOAはどちらかというとコンドミニアム(区分所有)に近い所有形態だと思っています。どちらも、それぞれが独立した不動産を持った上でのコミュニティですから。
松村:  やはり、最も重要なことはスピリッツを継承できるかどうかではないですかね。受け継ぐべきコアがないと、世代やメンバーが変わったら継続的なマネジメントはできない。



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