講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.事業企画と改修デザイン
田辺:  たなべ物産がURと15年間の定期借家契約を結びまして、たまむすびテラスの1棟を「AURA243多摩平の森」という賃貸住宅として運営しています。AURA(アウラ)は森の妖精、243は多摩平団地の243号棟だったことにちなんでいます。

AURA243の最大の特徴は共同菜園や小屋付き貸し庭を組み込んだことです。後者をデンマーク語で呼ぶとコロニヘーブになります。こうした貸し庭利用はデンマークの都市居住に根付いた習慣で、そこから着想を得ています。ブルースタジオというリノベーションをずっと手掛けている設計事務所と昔からご縁がありまして、コンセプト作りの段階から加わって頂いてここまで作り上げました。
鈴木:  住戸内部はかなり思い切ってすっきりと整理された空間になっていますね。
田辺:  4階建て住棟の中に3Kの住戸が24戸ありましたが、既存の内装を完全に取り払ってスケルトン状態にして内部をやり直しています。新しい間取りも基本的には24戸全て同じです。個室を広いリビングに接続し、水回りはコンパクトにまとめています。

内装はブルースタジオのデザイン上の狙いもあり、余りお金をかけずに仕上げた所と拘っている部分とでメリハリをつけています。キッチンは少し変わった設えですし、床は無垢のパイン材です。壁は断熱のためにボードを張りましたが仕上げは塗装だけです。天井も塗っただけです。しかし4Fの天井は外張り断熱で、ペアガラスも断熱・結露防止のために入れました。1階はベランダを撤去してウッドデッキを張り出し、専用庭を設けました。現在は24戸中23戸が契約済みです。
西田:  専用庭でバーベキューをやっている1階の入居者がいましたね。
田辺:  そうですね。まさに私どもが望んでいた姿です。生垣で囲われた部分が専用庭になっていて、出入り口として簡単な門扉を付けています。室内は43m2ですが、1階は庭も合わせると90m2程を専有できます。

改修で工夫したのは天井高の確保です。2、3階の天井高は2.3m弱ですが、そもそも階高が低い。ですから既存の天井を剥がして、スラブを直天井にしています。1階は木製床組を撤去して1段下げたので3mの天井高が確保されています。4階は勾配屋根ですが、それも直天井にしたので2.4mは確保できています。家賃は共益費込みで88,500〜113,500円、駐車場は12,600円です。



前ページへ  1  2  3  4  5  6  7  次ページへ  


ライフスタイルとすまいTOP