講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.りえんと多摩平の事業企画
土山:  私どもリビタはリノベーション事業を行っている会社です。企業の社宅として使われていた建物などを再生して分譲したり、賃貸集合住宅としての活用提案を企業・オーナー様に行なったりしております。たまむすびテラスの5棟のうちの2棟、シェアハウス「りえんと多摩平」は、当社が扱ってきた建物の中では過去最大の規模になります。UR都市機構と東電不動産が定期建物賃貸借契約を結び、リビタは東電不動産より転貸を受け、貸主としてリーシング・管理・運営を行なっています。

もともと、たまむすびテラスの建物はどれも4階建ての階段室型集合住宅です。住戸は間取り3K、広さ43m2でしたが、りえんと多摩平ではこれを3つの個室と共用部と捉え直し、3人1ユニットとして住んで頂くシェアハウスに再構成しています。一部の住戸は共用ラウンジなどに設え、賃貸しているのは2棟合計で142室になります。
鈴木:  同じプランで計画されているようですが、利用の仕方も全てシェアハウスですか。
土山:  1棟64室は丸ごと中央大学の国際交流寮として一括貸ししており、もう1つの棟の78室中30室ほどについても、来年から多摩地区の大学の留学生寮として利用して頂くことになっています。改修工事が3月に竣工し、こうした予約を含め9月末には満室になりました。
鈴木:  家賃はどのようになっていますか。
土山:  賃料は1室42000円から54000円です。この辺りの家賃相場を考えると、43m2の広さでも月10万円を超えると入居者集めが厳しくなります。同じ面積でもシェアハウスとしたことによってこうした賃料を設定できるので、オーナーさんの資産活用としても納得頂ける事業になっています。

世田谷あたりによくある例ですが、例えば8LDKの戸建住宅を50万円で貸すのは困難でも、シェアハウスとして貸し部屋を分割することで入居者を募集しやすくなることが有ります。シェアハウスには、事業の機動性という意味での可能性がかなりあるように実感しています。
松村:  その一方でやっかいな問題もありませんか。戸建住宅をシェアハウスに利用する場合、やり方によっては用途が変わって特殊建築物になってしまうと伺ったことがあります。
土山:  私どもは戸建住宅のシェア住宅は扱っていないのですが、現状では個別解の積み重ねの段階と言ってもいいのかもしれません。事業的な可能性が非常にある分野ですので、行政対応及び法的な整備がすすめられていくことを私どもも望みます。



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