令和3年度の高齢者住宅政策、
 並びに民間事業者に期待する役割について

(7) 地域に開かれたサ高住

 高齢者が集まって住まうことによりサービスを提供しやすくなることは、サービスを提供する側も受ける側もメリットがあります。さらにサ高住における見守りサービス等の地域提供が進めば、高齢者が施設などに入らなくても地域に住み続けられるような社会がつくられると考えます。そのためには、介護保険サービスと、そのプラスαとなるサービスによる、その人がその人らしくいられる地域づくりも必要ではないかと考えており、皆様のお知恵をお借りしたいと思います。在宅の高齢者に対して普段の話し相手や外出支援といった介護保険外サービスを提供できるような取り組みを行っているところがあり、好評を得ているという話ですので、介護保険外サービスというものが今後キーワードとなってくると考えます。
 高齢者が普通に地域で暮らすことを住宅サイドで考えた、地域に開かれたサ高住として、次の事例を紹介いたします。

①ゆいま〜る大曽根(愛知県名古屋市) : 既存ストック改修による分散型サ高住


②銀木犀<船橋夏見>(千葉県船橋市) : 誰もが気軽に立ち寄りたくなるサ高住


③アンダンチレジデンス(宮城県仙台市) : 医食住と学びの多世代交流複合施設

(8) 新たな住宅セーフティネット制度

 平成29年施行「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (住宅セーフティネット法) の一部を改正する法律」による新たな住宅セーフティネット制度は、空き家がある一方で、高齢者や低所得者など住宅に入りたくてもなかなか入れない方がいるところをマッチングするものです。現在は施行から4年経ち、住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅の登録住戸数が43万戸を超えています。共生社会として、低所得者・高齢者・障害者・子育て世代などが安心して住まう環境をつくっていくことが必要と考えます。住宅セーフティネット制度などに企業の方が参画いただくことで、理想的な住宅の業界がつくられると考えています。
 地域のサービス拠点としてサ高住の存在感が増していくといいと考えています。そして、自宅に住み続ける、あるいはサ高住に住み替えるなど多様な選択肢を提示して、その方その方の希望に沿った生活の送り方を支援できるといいなと考えています。