令和3年度の高齢者住宅政策、
 並びに民間事業者に期待する役割について

(5) 省令改正の方向性 (案)

 サービスやケアを受けながら暮らせる高齢者向け住まいを希望する方も当然おられます。サ高住の制度ができて10年になりますが、令和3年3月末現在で約27万戸の整備が進んでいます。有料老人ホームも増加しており、サ高住・有料老人ホーム・軽費老人ホーム、高優賃、シルバーハウジングを合わせた高齢者向け住宅数は90万戸を超えています。高齢者向け住宅が特養を超えるボリュームで高齢者を支えています。
 現在、サ高住に関する省令の改正を検討中です。改正の方向性の1つは、登録段階での情報開示の充実で、登録申請書への記載事項等に補助事業の要件として開示を義務づけている「運営情報」を追加するというもので、生活相談・緊急時対応サービスや、利用者の状態に合わせた食事対応、入居中の戸数、基準日までの1年間の新規入居者数及び退去者数、生活支援サービスのみを利用している入居者数、医療連携などを記載事項に加えることを検討しています。
 もう1つの方向性は、状況把握・生活相談サービスの提供体制の合理化で、登録基準の要件である有資格者の常駐や日中の常駐などを見直すというものです。現在は、有資格者が常駐して、安否確認や日中の生活相談対応を行っていただいていますが、サ高住には緊急通報装置を設置しており、通報装置が鳴った時に駆けつけが可能なところに人がいれば、必ずしも常駐していなくてもいいのではないかといったことを考えています。また生活相談サービスについても、常駐をしていなくてもオンライン的なもので相談ができるのではないかと考えています。

(6) 人生100年時代を支える「住まい環境整備モデル事業」

 和元年度から令和5年度の補助事業である、人生100年時代を支える「住まい環境整備モデル事業」の目的は、人生100年時代において、ライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応して、高齢者、障害者、子育て世帯など誰もが安心して暮らせる住環境の整備を促進するため、モデル的な取組に対して支援を行うものです。
 今年度事業の大きな変更点は子育て世代向け住宅をテーマとしてあげていることと、特定課題対応型を追加していることです。特定課題対応型では、コロナ禍の中で住宅にお困りの方が多くいる中で、できるだけ速やかに住まいを確保できるように、予め評価委員会の方で設定した要件を満たしていれば、評価委員会に通すことなく事務局で採択を判断します。