令和3年度の高齢者住宅政策、
 並びに民間事業者に期待する役割について

(4) 在宅サービスに対応した住宅の整備・改修

 高齢者が住む住宅の築年数をみると、約5割は築年数30年以上の古い住宅で、バリアフリー性能や温熱環境の点で課題があると考えられます。
fig4  在宅で介護を受けるための対応として、訪問介護などサービスを受けやすい工夫をすることが重要と思います。そして、できるだけ要介護にならない、あるいはなるにしても健康寿命を伸ばしていく工夫が人らしく生きていくために重要だと思います。
 そのためには家に閉じこもっているだけでなく、外に出ていく環境を確保することだと思います。コロナ禍の孤立を避けるという観点でも、家のバリアフリー化を進めて外に出るのが大変と思われないような住環境の整備が必要です。またヒートショックへの対策も必要ですし、個人の尊厳ある生活を進めるためにはお手洗いが生活をする場の近くにあることが重要だと思います。高齢者にとって屈辱だと感じるタイミングは排泄や食事を自分で取れないことと聞きますので、住宅側で受け止められるとすれば、お手洗いをできるだけ近くに配置して、使いやすいものにしていくところも高齢者を支える工夫と考えています。
 
fig5  国交省では平成31年に「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」をまとめました。こういったものを参考にしながら、最期のときだけでなく、弱っていく段階も含めて、できるだけ今ある住宅で過ごしていただくことが重要だと考えています。ガイドラインでは、8つの配慮項目と改修する空間を示していまして、これらの普及促進や周知といったところを、相談窓口づくりや相談対応の人材育成を含め、高齢者住宅協会(高住協)を中心に進めていただいております。