講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6.谷中の暮らし、事業経営、設計活動
宮崎:  基本的に海外向けのプロモーションをしているので、HANAREのお客さんの8割が外国人です。彼らの方がHANAREの価値を分かってくれますし、連泊するので経営も安定します。宿泊料金は必ずしも安くないので、ここに泊まるような人は街にお金を落としてくれます。ですから、宿泊者には街歩き地図も配ってこの辺りの飲食店や感じ良い路地などを紹介しています。10件あった銭湯が5件だけになり、住んでいる僕たちがいいなと思う店もなくなる一方です。表面的には観光地化が進んでいますが、夕方になると誰もいなくなり飲み屋さんもあまり儲かっていません。その状況がちょっと辛くて、地元のお店を少しでも応援したいと思っています。
1年ほど前には、TAYORIというお店もオープンしました。こちらの大家さんは地元の方です。相談を持ちかけられた時は、リノベーション設計だけ引き受けるつもりでしたが、内部の雰囲気が良かったので飲食店を開くことにしました。それとは別に、団子坂にあるハンバーガー屋も引き継いでいます。15年ほど続く人気店ですが、オーナーさんが他の事業で忙しくなり閉めることになった。もったいないと思ったので事業ごと引き受けました。
松村:  設計事務所の仕事はどうなっていますか。宿泊や飲食の事業を手がけている相乗効果があったりするのでしょうか。
宮崎:  宿泊施設がらみの依頼が多いことは確かですね。設計だけでなく、全体的なプロデュース込みで依頼されたりしますし、運営を頼まれたりもします。設計事務所は千駄木駅のすぐ近くのビルにあります。空きフロアを貸して欲しいって頼みに行ったら、オーナーさんが僕たちのことを知っていて、すごく安い家賃で貸してくれました。100uほどの広さがあるので半分だけ事務所に使って、もう半分はまちの教室「KLASS」という活動に使っています。ここでは色々な人が日替わり講座を開いていて、例えば粗挽きソーセージを作るクラスなどが人気です。
松村:  ブルースタジオの大島芳彦さんもそうですが、自分の暮らし中で経験したことが様々な活動に展開しているところ面白いですね。





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