講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


4.大規模シェアハウスの運営の仕掛け
土山:  ラウンジには共用の家具、家電を備えつけています。居住者の方に24時間自由に使って頂けるようになっています。この棟には78部屋ありますがこのようなラウンジを2つ設けています。もう少し室内が広いといいのですが、その分はデッキを張り出して外部空間で補っています。
鈴木:  この葉書はみなさんで書かれたものですか。この周りの風景写真のようですが。
土山:  22種類ほどありますが地域交流の事例です。ここの団地に住んでいた方々が建替え後のUR賃貸住宅にたくさん移られています。70代前後の方が多いのですが1000名ほどになると聞いております。そうした旧居住者の方々は自分たちが生まれ育ったこの場所この建物に当然愛着をお持ちです。

そこで、この夏にこちらの新住民(シェア入居者の若者)から旧住民(前入居の高齢者)に季節のハガキを贈り、近況を知ってもらおうという企画が持ち上がりました。自治会の「夕涼み会」でそのハガキの展示コーナーを設けたのですが自治会の方々に、大変喜んで頂きその後自治会より返事をいただくなどして多世代交流のきっかけとなりました。これらは10月22日のまちびらきイベントの際に展示させて頂きました。
鈴木:  それはどなたが言い出されたことなんですか。
土山:  実はこれだけの大規模シェアハウスの運営を行う工夫として、コミュニティ・リーダーを一般公募したんです。彼らには3か月間無料で住んでもらいまして、私どもと週一回のミーティングを重ねながら、コミュニティ活性の仕掛けを考え、主体的に企画のマネジメントもして頂きました。定期的な企画を通じて、入居者同士はもちろんのこと地域とのコミュニケーションも図っていければという狙いでした。

夕涼み会の絵葉書のプロジェクトも彼らとリビタが協働して進めていき、葉書をラウンジに置いて、目にした居住者に好きに書いてもらうよう呼びかけました。
西田:  そのような役割を公募する試みは初めてですよね。その役割の名称などありますか。
土山:  私どもは彼らをシェアハウスの暮らしを編集する「エディター」と呼んでいます。これまでも入居者の中からキーマンを選定し運営協力してもらうという取り組みはありましたが、公募型は初めてです。名刺を作ったりメディア対応を任せたり、また企画が終了すると報告書の提出を義務付けたりするなど自覚と責任感が生まれる工夫もしました。6名の方にエディターになって頂きましたが、その内の2名は期間が終わっても住み続けてくれています。
西田:  エディターの年齢層はどのあたりなんですか。
土山:  若い方ですと首都大の建築の学生がいました。上の方ですと近所の地域コーディネーターをされている方がいましたね。後者の方は通いのような形になりましたが、子供の頃を過ごした旧多摩平団地の活性化に一役買いたいという気持ちから応募して下さったようです。



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