講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.増殖した限定プランへの反省−大和ハウス
松村:  引き続いて大和ハウスさんのお話をお願いします。
瀬戸口:  お手元の資料は、当社が総合生活産業として行っている最近の提案を「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ」というキーワードで整理したメモです。こうして見ると環境関連の提案が多いですね。ライフスタイルに関しては他社さんと似た提案もしていますが、「近居・育孫」や「ハッピーハグモデル」は独自な取り組みと思います。
かつて多種多様な商品を限定プラン的に作っていた時期があります。結局、大量に部品種を作って管理できなくなってしまった。その反省もあって、ライフスタイルという観点から既存の部品を上手く組み合わせたらもっと効率的に提案できるのではないかという発想があると思います。ちょっとさびしい話ですけど、そういう視点で見直すと同じ部品システムの中で十分提案できています。ですからライフスタイルといっても上段に構えて住まい方を押し付けるではなくて、こういう住まい方はいかがでしょうという話題提供みたいな感じです。そこからお客様の潜在的ニーズを引き出せればよくて、そのままの形で実現しなくても全然構わない。
松村:  ちょっと話は戻りますが「ハッピーハグ」ってなんですか?
瀬戸口:  ベネッセコーポレーションとコラボした「子育ての家」です。これが思いのほかすごい反響でした。タマヒヨって呼ばれるベネッセの雑誌があります。妊娠されている方を対象とした「たまごクラブ」と出産後の方を対象とした「ひよこクラブ」ですが、圧倒的なシェアがあってお母さん方の8割は読んでいらっしゃるようです。そのベネッセと大和ハウスが協力して「子育ての家」を提案するというので、来訪者が倍くらいになって受注も増えました。
松村:  これは何に対して反応があったんですか?
瀬戸口:  ベネッセさんのある種のブランドじゃないでしょうか。ベネッセがやっていることだから間違いないと受け止められたと思います。ハッピーハグプランで面白いと思ったのはセルフパレットと呼んでいる三畳の子供部屋です。それが二つあって、その間にオープンパレットと呼ぶプレイルームがある。我々から提案すると、社内的に通りにくいのですが、子供部屋は寝るだけでオープンスペースで遊べばいいのです、とベネッセさんが言ってくれると社内も通りやすい。既存の部品を使ったプランの提案ですが、やってみたら反響が非常に大きかったので驚きました。
それから近居・育孫ですが、「第14回:食とライフスタイル」に出ている横江の提案です。リタイアした御両親が孫を育てましょうというコンセプトです。お父さんに近所に家を作ってもらって、忙しくて子育てに関われなかった代わりに孫を育てるのはどうでしょうかという提案です。こういう実例があったようですが、どうやら横江自身の願望にもピタッとあてはまったみたいです(笑い)。
鈴木:  その場合はどういったものが装備されるのですか?
瀬戸口:  部品というより細かいプランニングが必要になりますね。孫と一緒に入れるちょっと大きなお風呂が必要ですとか、孫と一緒に食事をするのに大きなダイニングテーブルが有るといいですといった具合です。
図3:ハッピーハグモデル(大和ハウス)



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