歴史の上に立つ今のライフスタイル
今回、勝裕子さんが紹介してくれたデンマークの都市内農園「コロニー・ガーデン」とそこに暮らす人々。首都コペンハーゲンの中心から自転車で15分というようなところで、特に裕福だという訳でもない普通の人々が、こんなにのびやかに暮らすことができている事実。写真を見ているだけでも楽しい。日本でもこんな暮らしができればなあ、と思う人も多いと思う。
ただ、勝さんが明らかにしてくれたように、「コロニー・ガーデン」という場所とそこでの暮らし自体、昨日今日できたものではない。数百年前から徐々に形を変え、デンマークの人々に受入れられ、都市内に位置付いてきた歴史があるのだ。今暮らしている個人個人を見ても、親の代から同じガーデンを使っている人がいる。この歴史の厚みの上に、今の羨ましくなるようなのびやかさがあるのだと思う。
遠い国の豊かさをそのまま参考にするのも良いかもしれないが、他方で私たちの歴史の中に将来の豊かさに繋がる何かを見出し、その中の大切なものを育てていくことが求められているように感じた。
(松村秀一)
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