郊外住宅団地の実態と再生

「住宅団地の実態調査
 〜『住宅団地の再生のあり方に関する検討会』報告より〜」

 

(3) 住宅団地の置かれている状況

 以上の調査結果を踏まえまして、住宅団地の置かれている状況について下図のようにまとめました。極端な高齢化の進展により、団地内生活利便施設・交通手段の維持が困難となり、居住者の生活環境が悪化しますと、新たな居住者の流入が望めず、空き地・空き家が今後急激に増加する恐れが大きいと考えられます。 fig3

(4) 住宅団地再生の取組

1) 住生活基本計画(全国計画)
 住宅政策の根幹となります住生活基本計画(全国計画)において、UR団地の地域医療福祉拠点化、建替等が行われる公的賃貸住宅団地における高齢者世帯等の支援に資する施設の併設率に係る一定の目標を設定し、取り組んでいます。
 
2)「住宅団地再生」連絡会議
 平成29年1月30日には、地方公共団体、民間事業者等の関係者による『「住宅団地再生」連絡会議』を設立し、第1回会議を開催しました。第2回は今年の1月に開催しました。この会議では住宅団地の再生・転換方策について、先進事例の研究、調査、意見交換等を実施しています。事務局は国土交通省、住宅金融支援機構、住宅生産振興財団で、平成30年7月1日現在、296団体が参加しています。民間企業等は68団体ですが、ご希望いただければいつでもお入りいただけますので、ご検討いただければと思います。第3回は、平成30年11月5日 (月)、6日 (火)に、高蔵寺ニュータウン (愛知県春日井市) にて開催します。
 
3) 住宅市街地総合整備事業住宅団地ストック活用型
 平成30年度には住宅団地ストック活用型の住宅市街地総合整備事業を創設しました。住宅市街地総合整備事業は地方公共団体による住宅市街地整備の取組に国の方から支援するというもので、従来は密集市街地の整備や大規模工場跡地の住宅市街地への転換に支援するものが中心だったのですが、今年度は住宅団地ストックの活用という新しいメニューを作りました。
 対象住宅団地の要件は、5ha以上、入居開始から概ね30年以上経過、高齢化率が著しく高い、住宅戸数100戸以上、公共用地率概ね15%以上、都市機能誘導区域又は居住誘導区域内といったことで、入居開始後時間の経った住宅団地の多くのところが該当するのではないかと思います。
 ハード面では、高齢者支援施設・子育て支援施設等や公園・緑地・広場のような地区公共施設等の整備に対して支援します。またこの事業の特徴的なこととして、循環用住宅の整備として、既存住宅を一定の条件の下でリフォーム・流通させる場合、リフォーム費用の一部を支援させていただきます。またソフト面では、地方公共団体・公的主体・民間事業者等で構成される協議会の計画策定や活動を支援します。
 しかし、これらは、あくまでも公共団体に対する補助でして、公共団体がやる気になって、自らもその一部費用を負担してこういった取り組みを進められる場合に国としても支援するという仕組みですので、まずは各公共団体の方でご活用・ご検討いただくという性格のものです。今年度からはこのような取り組みを始めています。
 
4) 住宅団地再生の取組例
 民間や地方公共団体による団地再生の取組としては、後で詳しくお話いただける大和ハウス様の事例や、近鉄グループ、小田急グループ、京王グループ、相鉄グループ、広島市、大分市、横浜市泉北ニュータウン、大阪府住宅供給公社などの事例があります。『「住宅団地再生」連絡会議』で情報交換を行っており、私どものホームページの『「住宅団地再生」連絡会議』に関するサイトで紹介しておりますので、参考にしていただければと考えております。
 住宅団地の再生に関する取組は、まだ、調査結果をまとめてこれからどうするかを考えている段階です。様々な先進的な取組は、非常に多岐にわたっており、地方公共団体及び民間企業の方々と意見交換をしながら、施策の充実に努めて参りたいと考えています。