郊外住宅団地の実態と再生

「住宅団地の実態調査
 〜『住宅団地の再生のあり方に関する検討会』報告より〜」

 

(2) 大規模住宅団地

 第二次調査は、第一次調査で100ha以上の大規模な住宅団地を有していると回答された市区町村 (479団地:延べ500市区町村に立地) を対象に、住宅団地の概要と、当該住宅団地の現状・課題、当該住宅団地に対する取組状況、住宅団地の再生、住宅政策全般等についての意見・課題等を尋ねたものです。471団地 (延べ490市区町村に立地) に関する回答をいただきました。それに加えて、「小地域単位の将来人口・世帯予測ツール」(国土技術政策総合研究所作成) を用いた各団地の将来人口と高齢化の推測を行いました。
 回答いただいた471団地の概ね半分は三大都市圏に立地しております。入居開始時期については「不明」との回答が半分近くあり、果たして全体のどのくらいを表せているかが若干疑問はありますが、明確に回答いただいた中では、40年以上経過しているところが2割強でした。
 住宅種別・住宅構成については、戸建住宅居住世帯が過半数を占める団地が471団地の半分以上 (53.3%) を占め、戸建住宅居住世帯1割以上の団地は471団地の95.5%と、戸建住宅が大規模住宅団地でも主要な構成要素になっております。また、持家率75%以上は471団地の41.6%を占めています。一方で公的賃貸住宅居住者が1割以上の団地は26.7%となっており、公的賃貸住宅が構成要素となっている大規模住宅団地はかなり限定的であるということが見て取れます。
 開発時の事業主体については、61.8%が、地方自治体や公団 (現在のUR)、住宅供給公社といった公的主体です。事業手法は区画整理が63.1%を占め、その他は新住事業や開発許可です。用途地域につきましては住居専用系用途と一部商業系用途が組み合わされている団地が90.9%と圧倒的です。全国平均の用途地域の面積割合で住居専用系は38.4%であることに対し、住宅団地では70.5%と住居専用系用途が広範囲に設定されています。加えまして、地区計画や建築協定などの地域のまちづくりのルールを定められている団地は50.4%あり、最低敷地面積の定められている団地は40.4%ありました。
 人口移動については、大規模住宅団地の5年間の転入率は24.5%と、全国平均31.5%に対して低くなっています。また、転入率が全国平均以下の団地数は381団地 (79.2%) でした。転入率と持家率の関連の分析を右図のように行いましたが、持ち家率が高くなるほど転入率も低くなり人口移動が少なくなる傾向が見られます。人口移動が活発な団地の特徴は、周辺の市街地と連担して一体の市街地を形成しているとか、鉄道駅周辺に立地しているとか、土地区画整理事業により整備されている一方、人口移動がない団地の特徴は、ターミナルから遠く、最寄り駅から独立している、持家率が極めて高い、団地再生に係る取組はほとんど実施していないというようなことがあるようです。
 高齢化率については、全国平均26.6%に対して、住宅団地全体では22.1%と低めでありますが、これは入居開始時期によりますので、入居開始からかなり時間が経った住宅団地ほど当然高齢化率を高くなっています。特に入居開始から40年あたりを境に急上昇するという傾向があります。 fig1

fig2