講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』
徳田光弘さん「リノベーションスクールという事業化手法−AIJ大会見学会「北九州リノベーションまちづくり探訪」の参加報告−
徳田光弘さん
九州工業大学大学院工学研究院准教授、一般社団法人リノベーションまちづくりセンター代表理事。リノベーションスクール(2016年3月まで代表)や北九州家守舎(取締役、〜2016年3月)などを仲間と立上げ、リノベーションによるまちづくりに北九州で取り組んでいる。



1.地域資源を最大化する
2.リノベーションスクールの仕組み
3.リーディングプロジェクト「中屋ビル」
4.リノベーションスクールによる事業化@ビッコロ三番街
5.リノベーションスクールによる事業化AHostel and Dining Tanga Table
6.リノベーションスクールによる事業化Bcomichi かわらぐち
7.リノベーションスクールによる事業化Cサンロード商店街
8.リノベーションと福祉のマッチング
9.リノベーションによるまちづくりに向けて
10.まとめ



1. 地域資源を最大化する
徳田:  北九州はリノベーションによるまちづくりの先駆として、全国的に知られるようになりました。「建築」だけでなく、「人」「こと」「もの」「とき」「金」を含めた地域資源を再発見し最大化することによって、豊かな暮らしを築いていくという取り組みが着目されるようになったためかと思います。
現在、全国の空家率は13.5%に達しました。しかし、本当の問題は空家の発生なのか冷静に考えることが重要です。私たちは地域課題解決の方が大事だと考えています。つまり、ストックと呼ばれる空間資源を使うと、地域課題をうまく解決できるという考えです。そのため私たちは、空家対策という言葉は使っていません。
ご存じのように、北九州は1901年の八幡製鐵所の設置が契機となって、非常に栄えたまちです。ところが、現在の製鉄所の雇用は3千人を切っています。最盛期は7万人でしたから、6.7万人の雇用がなくなったことになります。北九州市の最盛期人口は約107万人で、現在は96万人ほどです。11万人の減少ですが、雇用の減少にその配偶者数を加えると、ほぼこの数字になることが分かります。こうした状況は小倉駅周辺の路線価にも現れていて、2000年と2010年を比較すると平均で1/3ほどに下落していますし、場所によっては1/9になった場所も見られます。




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