講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


1.福井綱吉さん「工務店が企画する暮らしのギャラリー」
3.「木を想う家づくり」から「家守」まで
松村:  現在社員は何人いらっしゃるのでしょうか。
福井:  全部で21名です。設計が6人、企画が4人おりまして、「暮らしの相談員」が5人、残りはと工務です。その中には、リフォームやアフターサービスといった「家守」の仕事をしているスタッフや、KJ WORKS京都、KJ WORKS南大阪があって、それぞれに社長がおります。ですが分かりにくいので、対外的には支店と説明しています。京都と南大阪には企画や設計の人間はいないため、うちが運営費と設計料をもらって請け負います。全体の仕掛けと切り盛りは僕がしています。
鈴木:  家守というのは最近の試みですか。
福井:  3年前の2007年からです。今では年間300件程を社員全員で年末のご挨拶を兼ねて巡回していて、メンテナンスやリフォームを継続的に受注できるようになりました。始める前は山ほどトラブルが起こると思っていましたが、やってみると何もありません。KJ WORKSではこれらのリフォームやメンテナンス業務を設計事務所から転職してきた若い社員が担当しています。若くて知識が少ないので初めはお客さんの信頼が得られなかったのですが、今では月に200〜300万円も稼いでいます。通常の工務店では大工仕事が一通りできる60代のベテランがメンテナンス業務を担当します。でもベテラン大工は聞いたことしかしないし、工事の駄目なところを上手に隠してしまう。元の工事担当に気兼ねするんでしょうが、そうするとお客さんの方に不満が残ってしまう。その点、若い社員は工事に悪いところもあったと正直に言うので、かえってそれが良いようです。
松村:  KJ WORKSの家の坪単価はどのくらいでしょうか。
福井:  80万/坪くらいでしょうか。当社では吉野桧や小国杉など木材、呼吸する壁材にこだわった家づくりに取り組んでいますから、凝ったものだと100万/坪くらいになります。安くはありませんが、建具もキッチンも一から作って、通気や断熱まで徹底的にやればこのくらいの値段になります。会社としてちゃんと食べて行こうと思えば、ある程度の利益率を保つ必要がある。その代わり、当社でずっとメンテナンスを続けて行く自信はあります。
西田:  設計料はどうなっていますか。工事費とは別の費目として示されているのでしょうか。
福井:  管理と監理の重複を考えて、5〜6%の設計料を見込んでいます。ちなみに中には当社を工務店と思っていないお客さんもいて、見積書を見てから、施工もやるんですかなんて聞かれることもあります(笑い)。
鈴木:  どのようなお客さんが多いのでしょうか。
福井:  アレルギーの方などは多いですよ。うちは「おいしい空気」をアピールしていますから。それから、設計事務所に頼むか当社にするか、というお客さんも多い。工務店は自社施工で安心だけど恰好は悪いと思われがちですが、KJ WORKSという社名のせいか、そういう印象は持たれていないようです。実際、表層のデザインはそれほどでないとしても、暮らし易さのデザインは自負しています。



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