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大崎: |
漆塗の国内市場は冬の状態で、最近では日本を代表するような料亭でも買わなくなってしまいました。外国で漆に興味を持っている人は意外に多くいますから、むしろそちらの漆塗市場が盛り上がって欲しいと考えてもいます。
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佐藤: |
確かに日本の伝統的な技術が逆輸入されて見直されることがありますね。
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大崎: |
実際、クエート国王の和風パーティの依頼を受けた方から漆器の相談をされたり、ニューヨークのメトロポリタン美術館による日本食パーティの相談があったりしました。しかし、海外で日本食が流行していても、それに漆器が乗りきれているとは思えません。最近では輪島を訪れる外国人も多くなっていますから、輪島塗を使うイタリアンレストランを土蔵に開いたり、蕎麦をカジュアルな漆の器で提供するといったことにも挑戦しています。
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佐藤: |
海外で漆器を使ってもらう上で何か問題があったりするのでしょうか。
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大崎: |
ヨーロッパは日本に比べて湿度が低く、漆器が乾燥して割れてしまいます。もっとも、一昨年、京都で開かれた展覧会でヨーロッパへ渡った漆器が里帰りしていましたが、割れなどは見られませんでした。それを所持する美術館の館長によれば、その漆器は石造の建物の空気が安定した場所で保存されていたから割れなかったのではないかということでした。
いずれにせよ、外国で漆器を使う際に障害になっているのは乾燥による割れです。割れない漆器を作るために、私はボーンチャイナを使った方法の研究を依頼しました。これがうまくプロデュースできたので、ボーンチャイナを使った漆器にも取り組んでいます。
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