講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


9.お客さんのお友達からスクールへ

松村 住み手の人に対して医者の診断みたいに、家族が何人なんですかとか、どういうところで食事しようと思っているんですかとか、こちらからいろんな事を引き出して、それではこういう風ではないですか、と聞いていくやり方なんですか。それともお客さんの方からどんどん言ってきたのをどんどん取り入れるというのと、どちらが基本ですか。
小川 前者です

松村 聞いていかないといけないということですね。
小川 でもすごくおもしろいのは、お客さんは自分の家のことは話したくないけど、他の家の人のことを聞きたいんですよ。 今お客さんはそれ位の刺激があると「じゃあこういうことできるの」と聞いてくる。 年配の方からは物が納まる納まらないとか頼りにしてもらえる。若い女性も、マンション買う時に何が正しくて、 何がどうなのかすごく不安で、買う気になっていたんだけど、契約する時に「でもな」と思った時に「よそのどこどこのマンションも今こうなんだけどどうかな」とか相談される。 デザインクラブは、損得関係でもないし、マンションを売るのでもないですから、お客さんが内輪話をするように参加してくれるという感じですね。

西田 住まいの教育機関を作ろうというお考えはないですか。
小川 スクールみたいなものをやりたいなといっているんです。年配の方にコツとかを教えてあげると「うれしい」と言ってもらえる。 「こういうことができるんですよ」とか、自分の生活は自分が主人公だから「それが住みやすいんだったらそれでいいじゃないですか。」とか、 そういうふうにお友達としてそばについてあげて満足して喜んでもらう、それをビジネスとして次の展開としてやっていきたいなと考えています。

ホームページでファックスで無料相談をはじめたんです。この業界に友達がいたら色々聞けるのに、そういう知り合いがいない人って悶々としなくてはいけない。 その人たちのお友達に瞬間的になろうというので始めたんですよ。 15日と30日が区切りで、15日にお手紙が来たら30日に返すよという風にして、社内の人間がお手紙的にやろうとホームページに出したんですけどあまり来ないんですよ。 もっと顔と顔、手と手というか、体温でつながっていかないとそういうことはできないのかもしれません。

課題は大きいけど、でもちょっとずつやろうかなと思っています。若い人たちがコーディネータを目指すための機関はたくさんあるので、 どちらかというとシニア層の40以上の人しかこのスクールに入れませんとする方がかえっておもしろいかもしれない。 今から建築を目指すということではなく本当に住まいを第二の人生の基点として楽しむためのスクール。

たまたま県知事とお話しする会議があって、「不動産業界は」と色々言われる中でどんどん仕事もシビアになってくるけども、 住まいというのはこれから非常に重要になってくるという話になりました。 第二の人生であったりとか、高齢者社会の中でどう生きていくのかというのを考える時に、家なくして人生を語れない。 どこで寝て、どこで病気を治し、生活していくのという時に、家って絶対大事じゃないですか。 田舎で野菜作りをするとか、海辺で暮らすとか、都心で暮らすとか家が非常に重要なテーマになって、その中でライフスタイルはこれからのキーワードになる。 その人の生き方というか、今後どうやって生きていくの、誰と暮らすの、旦那さんと暮らすの、違う恋人と暮らすの、 それとも離婚しても一緒に住むのとか子供と暮らすとかいろいろあると思うんですけども、住まいはそういう時の基点になる。 時代の波がライフスタイルとなる、そちらの方でビジネスをしていければなと考えています。


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