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豊田: |
尾道には三つのアーケード街があります。かつては港から一番近いエリアが最も栄えていて、現在も大きな町家が数多く残っています。通り側は閉まった店舗が目立ちますが、奥では生活が営まれていることが少なくありません。ただ、店舗部分を通り抜けないと居住スペースに行けないため、店舗部分を貸し出すことができず、通りとしては寂れた状態になっています。
NPOではそうした町家の一つを買い取って、「あなごのねどこ」というゲストハウスを運営しています。もともと3棟で構成された町家で、奥行きが40mほどあります。明治時代に呉服屋さんが建てた町家で、最後は眼鏡屋さんがテナントとして入っていました。奥行きの深い建物はウナギの寝床と呼ばれますが、尾道はあなごが有名なので「あなごのねどこ」と名付けました。通りすがりの人にも、こうした特徴が伝わるよう、裏までのぞき込めるような間取りに変更してわくわく感を持たせています。
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鈴木: |
ゲストハウスとして再生する上で、どんな点に気を付けましたか。
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豊田: |
学生の1人旅や外国人観光客をターゲットにすることははっきりしていたので、そうした方々が手軽に泊まれることを意識しました。それから、街の特有の文化を感じてもらいたいという思いもありましたね。みはらし亭の魅力は坂の町で味わえるきれいな景色ですが、あなごのねどこでは路地感をアピールしています。
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佐藤: |
あちらにいる二人はゲストハウスのスタッフですか。
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豊田: |
フロントをしてくれている彼は、福山市出身のJターンです。京都の学校に通っていましたが、現在はNPOで改修した古民家のシェアハウスに住んでいます。2016年から、深夜11時から2時までだけ開店するというスタイルで「弐拾dB(にじゅうでしべる)」という古本屋さんをやっています。あちらの彼は、住み込みでお手伝いをしてもらっていますが、尾道への移住を検討している最中です。
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