令和5年度

 高齢者等住まい関連施策並びに会員各社への期待!

(3) 高齢者の住まいとまちづくり

1) サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住)

 サ高住の登録制度は、およそ10年前、平成23年10月に施行されました。バリアフリー化や居住者への生活支援の実施等の基準を満たす住宅について都道府県等が登録を実施するものです。高齢者向け住まい・施設の利用者数では、特別養護老人ホームの利用者数が最多 (令和3年で638,900人) ですが、サ高住・有料老人ホーム・軽費老人ホーム・高齢者向け優良賃貸住宅・シルバーハウジングを合計した高齢者向け住宅の利用者数はこの10年間に急激に増加し、令和3年で約100万戸となっています。その中でサ高住の登録戸数は約27万戸です。
 サ高住の令和4年8月末現在の高齢者生活支援施設併設状況については、1つ以上の高齢者生活支援施設が併設又は隣接している施設は4分の3 (75.0%) です。併設施設の種類は、通所介護事業所 (41.1%)、訪問介護事業所 (40.7%) が多くなっています。
 令和4年8月末現在のサ高住専用部分の平均床面積は21.9m²/戸で、トイレ・洗面台を備えていますが浴室のない、25m²/戸未満の住戸が78.8%を占めます。入居者には自立高齢者が少なく、要介護3以上の高齢者が約3割を占めます。家賃、共益費、サービス費 (生活相談・見守り) を合計した入居費用は月額約11万円/月程度です。

2) サ高住の支援措置

 国交省はサ高住供給促進のための支援措置 (予算・税制・融資) を設けています。サ高住住宅供給促進税制は、令和7年3月31日までに取得等した場合に適用されるよう、令和5年度に延長されています。

3) サ高住の運営

 令和4年9月1日の高齢者住まい法改正で、サービス付き高齢者向け住宅の運営に関する見直しがなされました。1つは状況把握サービス及び生活相談サービスの基準に係る柔軟な取扱いです。サ高住に自立した高齢者が入居している場合等、多様な実態があること等を踏まえ、有資格者の常駐を要しないこととする見直しを行いました。もう1つは.登録段階での情報開示の充実です。利用者がより適切にサ高住を選択していただけるよう、サ高住の登録申請書への記載事項に、運営に関する情報を追加しました。

(4) 会員会社への期待

1) 自宅に住み続けるための環境整備(技術開発)

 在宅サービスに対応した住宅とは、在宅サービス (訪問・通所) を受けやすい工夫のなされた住宅、要介護高齢者の身体状況に配慮する工夫のなされた住宅、家族間のプライバシーを確保する工夫のなされた住宅と考えられます。要介護時の対応をあらかじめ想定し、住宅のプランニングに組み込んでおき、高齢者の健康状態・ステージに応じて、改修等を通じて対応することが重要です。国交省が平成31年3月28日に公表した「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」では、プレシニア・アクティブシニアを主な対象とした、高齢期に備えた既存住宅の改修に関する配慮事項が示されています。令和元年度にリーフレットや冊子といったツールを作成するなど、ガイドラインの普及を展開しています。
 国交省スマートウェルネス住宅等推進事業の1つである「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」は現在、令和5年度の提案を募集中です (応募期間:令和5年4月4日〜9月28日)。これはライフステージに応じて変化する居住ニーズに対応して、高齢者、障害者、子育て世帯など誰もが安心して暮らせる住環境の整備を促進するため、モデル的な取組に対して支援を行う事業です。国が事業テーマを設定し募集する「課題設定型」事業でのテーマは、①子育て世帯向け住宅の整備、②多様な世帯の互助を促進する地域交流拠点の整備、③効果的に見守る高齢者向け住宅の整備、④長く健康に暮らせる高齢者住宅の整備、⑤早めの住み替えやリフォームに関する相談機能の整備、⑥住宅団地の再生につながる地域の居住継続機能の整備となっています。例えば③について、IoTを活用した見守りや地域との連携交流の工夫による見守りが考えられます。スマートウェルネス住宅等推進事業では、民間賃貸住宅に単身で居住している高齢者を対象にした、IoT照明見守り機器を使った見守り技術検証が行われました。
 住宅内の温熱環境が健康に与える影響については、断熱改修前後の居住者の心身の状況の変化等について、国土交通省の補助により調査が行われています。調査から得られた血圧等への影響について、厚生労働省等と連名でチラシを作成して広く周知しています。