千葉大学の教職員、学生が中心になって「NPO法人 ちば地域再生リサーチ」は、2003年に設立されました。千葉大学が地元への地域貢献を行うことの一環として、大学の都市や住宅の専門家が中心となって始めた活動がその母体となっています。
対象地域は1970年代から開発が進められてきた千葉・海浜ニュータウンで、約5万世帯、12万人が居住する埋立地のニュータウンです。
そこで、ちば地域再生リサーチは、住民と協力する地域の福祉、住宅のリフォームを中心とした地域密着サービス(コミュニティビジネス)を行い、地域の魅力を維持する活動をしています。また、さらなる街の将来を見据えて、県、市、都市再生機構、住宅所有者と連携した再生プロジェクトの立案と実現を目指しています。
今回は、このNPOの理事長の服部岑生さん、事務局長の鈴木雅之さん、スタッフの陶守奈津子さんにお話を伺いました。




ちば地域再生リサーチの活動は5つに大別されます。

[活動の5本柱]


@ 住まいと街のリフォーム
 
A 地域の福祉
 
B 市民ライフの支援
 
C 地域文化の創造
 
D 地域・行政との協働
 


■ 住まいと街のリフォーム

「住まいと街のリフォーム」は、老朽化したUR賃貸住宅を主な対象として、居住者の専用部分をDIYでリフォームすることへのサポートです。
長年居住している人が多いのですが、賃貸住宅のためか、あるいは費用が嵩むためか、ほとんどの人が入居当初のまま暮らしています。その結果、壁紙にカビが生えたり、床材が腐食するなど、決して良いとはいえない居住環境のまま我慢している人がたくさんいました。
そこで、壁紙、カーテンレール、網戸、サッシなどを自分で簡単にリフォームする方法を講習会で教えたり、自分でできない人にはリフォームを請け負います。どんな小さな修繕にも対応しています。これは普通の業者ではできないことです。
また、講習会を通じて、DIYリフォームのニーズやどのような技術が必要かについての課題を探ることや、人材発掘、技術開発等も行っています。社員の一人を団地に住まわせ、低プライスでのDIYリフォームができる技術の実験を行っています。

■ 地域の福祉

「買い物支援」は、住民がショッピングセンターで買物した代金支払い済みの商品を自宅まで届けるサービスです。料金は一回50円(商店から50円/袋の補助)。買い物代行は、問題が生じやすいために原則的にはやっていません。利用者登録は現在140名で依頼件数は多いときに1日10件程度あります。
日常生活への支援は地域住民との信頼関係が必要であり、民間企業などではできないものを、地域に密着したNPOとして継続して行っています。茶話会など地域交流や、住民参加の地域勉強会などで住民ニーズをモニタリングしています。これにより住民との会話のきっかけができていることがポイントです。
こうした地域福祉の向上に向けたコミュニティビジネス的な取組みは、平成19年度の「全国都市再生モデル調査」に応募し、採択されました。調査名は「昭和40年代ニュータウンの高齢者居住のための統合的ワンストップ生活支援サービスの社会実験」です。その他、「安否確認」のシステムづくりなどの実験も行っています。

以下は、これからのビジネスの展望やアイディアです。

装置による安否確認のビジネスはあっても、シニアの人に実際に何かあったときに、駆けつける人が近くにいません。そこをNPOで補うことができないか。例えば新聞が溜まっていることが見つかると連絡が入るような、総合的な安否確認ができないか。
高齢者の配食サービスについても赤字のところが多い。これをNPOの力で補うことができないか。
マンション管理会社はフロントサービスのノウハウを持っています。これを地域全体に活動範囲を広げ、スケールメリットを生かした、フロントサービスのビジネス化ができないか。
県の保健プログラムや、市が介護保険の一環として行っている地域包括支援センター等の活動と連携した「健康づくりの活動」ができないか。
電気修理業者から、リサイクルの部品を安くまわしてもらうことはできないか。
 

■ 市民ライフの支援

低未利用の空き店舗や集会所を活用することによって、地域住民の集会活動のための拠点づくりを検討しています。同様に、子供の居場所づくりや、こうした様々なコミュニティ活動を支援する方法を現在検討中です。
 

■ 地域文化の創造

地域に即した様々な課題やテーマに関する学習の機会を設ける。また、小中学校との連携(総合学習の時間の活用)、地域資源の活用・発信が挙げられます。
以上のように、住まい系のサービスと生活支援のサービスを合わせて行うことでそれぞれの価値が高まっていくと考えています。

■ 地域・行政との協働

行政や住民組織との連携、美浜区の将来像づくりに貢献します。




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