講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


8.サステイナブルな再生方法の共有
豊田:  尾道では個人レベルの小さな取り組みも増えていて、そうした点と点を巡り歩ける楽しい街になってきています。その一方で、有名チェーン店などの大手資本とどのように向き合うかという新たな課題も出てきました。大家さんや行政の方々には、目先の損得に囚われず、尾道の10年後や20年後のためになることを考えて行動して欲しいです。地価が上がったとしても、若い子たちが入れないようになったら、ダメだと思うんです。
松村:  リノベーションの先駆エリアでは、同じような課題が現れているようです。例えば岡山市の問屋町では、リノベーションによって人気が出てきた結果、周りにタワーマンションやショッピングモールが建ち始めたそうです。
豊田:  地域経済で回せるようにすることが大切だ思います。NPOでは、多少高くついても地域の品物を仕入れるようにしていますし、移住してきた子たちも意識が高いので、お互いに仕入れ合ったりしています。
佐藤:  大手資本は入ってくるだけ入ってきて、その後の責任を持たないことが多いですよね。金沢市の日銀支店の周りには、金融業が建てた貸しオフィスビルが建ち並んでいますが、ガラガラの状態が長期間にわたって放置されている状態です。
豊田:  尾道空き家再生プロジェクトでは、サステイナブルに取り組んでいく方法を共有していきたいと思っています。みんなが勝手にやるだけだと、すぐ息切れしてしまいますから。



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