講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.10のテナントがLLPをつくった「パブリックスペースOPEN」
倉石:  この「パブリックスペースOPEN」は老舗の呉服問屋さんでした。1階の「古民家カフェ&ダイニングGofuku」の名称はそのなごりです。現在の大家さんは建設会社で、ここを解体して駐車場にすることになったんです。
隣地は既に駐車場になっていました。実はそちらの建物が取り壊される時も、何か良い利用方法がないか検討が行われたそうです。しかし、道路付けが悪くて駐車場にしかならなかった。こちらの条件もほとんど同じでしたが、駐車場の賃料を超える提案をさせてもらえないかと掛け合ったところ、3か月だけ待ってくれることになりました。
見学会参加者のウェイティングリストが20人くらいあって、その中に、カフェ・バーをやりたい方、シェアオフィスを作りたいというライター3人組、お菓子教室を自宅から移したいという主婦の方がいらっしゃった。職種も全然バラバラで顔見知りじゃないけれど、この建物を見て面白いと特に興味を示してくれた方々です。
これらの方々がコアになって話は進みました。だけど大家さんは、「入居者がバラバラだと面倒だから嫌だ」と言う。そこで私たちマイルームが間に入り、入居者候補の方たちが10人くらいの有限責任事業組合(LLP)を作る御膳立てをしました。入居者が半分ほど決まった段階で見切り発車でスタートし、オープンまでに全部のテナントが埋まったという感じです。
松村:  するとこの建物は、マイルームのマッチングサポートによって設立されたLLPが賃貸契約をしていて、その組合員がテナントとして入居しているわけですね。
倉石:  テナントは10社です。敷地・建物を30万円でサブリースしているので、1社当たり平均3万円という破格の家賃になっています。ただし、全部テナントさんにやってもらっています。改修工事はもちろん、何かあったらテナントさんが自分たちで直します。マイルームが物件化した空き家では、全てこうした方式にしています。
松村:  これだけの規模になると、用途変更の確認申請が必要ですよね。
倉石:  ここの建物は別棟に分かれています。それぞれ100u未満だったり、リノベーション後の用途も事務所だったりするので、確認申請は出さずに済みました。



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