講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.マネジメントと居住者のプロファイル
森田:  GHIは住宅地を管理するための事務所を持っていて、そこには全住宅の売買や増改築履歴が1600戸分残っています。また50人ほどのスタッフを雇っています。その半分はパートタイムですが、もう半分はフルタイムです。色々な専門家が雇われていて、ちょっとした外構を造るスタッフもいたりします。ちなみにGHIの子会社が経営している集合住宅があり、そこでの収益は住宅地のマネジメント費用にも充てられています。

松村:  1600戸でフルタイムが25人ですか。かなり多いですね。グリーンベルトにはどのような所得階層の人が住んでいるのですか。
森田:  所得は平均よりも少し高い階層ですね。むしろ年齢層の方に特徴があって、居住者は30代から50代までの比較的若い世代が多いです。
松村:  それならグリーンベルトの年齢構成は、アメリカ全体よりも若い層が多いわけですね。シングルの人達も多いようですし。
森田:  若いですね。住宅がさほど大きくないので、小さな子供がいる世帯が多い。子供が育つと引越して行く家族も多いのではないでしょうか。もっとも、60代以上の世代の中には子供が自立してからまた戻ってきた人達も見られます。

ちなみに私が15年程前に調査したときに泊めてもらった家の居住者も小学生の娘と幼稚園の息子を持つ比較的若い家族で、奥さんは「グリーンベルト・ミュージアム」で働き、旦那さんは大学院で博士論文執筆に励んでいました。彼らはこの住宅地の良いところとして、リーズナブルであることや自然や安全など子育てに恵まれた環境であることを挙げていました。組合が台所のシンクを取り替えてくれたりするみたいで、そうしたことを評価していたようです。つまり長期修繕計画のようなものが住宅の部屋の中まで入っていて、そうした修繕も組合に支払っているお金の中からやりくりされているようです。



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