講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7.3331の利用の仕方
松村:  リノベーションの内容としては建物のアプローチを公園側に変えたことが一番重要でしょうね。
中村:  公園との接合は大きいですね。現在は一体として利用されていますが、旧練成中学校と公園の間には塀が立っていて完全に分離されていました。公園からは使われていない遊具や樹木でうっそうとしていて建物の顔が良く見えなかった。コンペで今の姿を提案しましたが、建物の顔が見えるように公園と一緒にリノベーションしたことは正解だったと思います。
鈴木:  内部には貸しスペースがいくつもありますが、借りる人はどこまで自由に改修していいんですか。それと様々な活動がミックスされていますが、そのあたりはどの様にして考えられたんですか。
中村:  基本的には改修の設計を出してもらって極端な問題がなければよいことにしています。使い方全般に関しては僕のこれまでの経験を踏まえています。ですから今回考えたというより、ずーっとやってきたことなんです。

例えばアーティスト・イン・レジデンスというのは全世界に広がったネットワークであって、レジデンスプログラムを作るとすぐ世界と繋がる。でも日本とはなかなか繋がらないんです。知っている人だけ知っている状態で。もうすぐ発表できると思いますが、「AIR3331」という日本のアーティスト・イン・レジデンスのネットワークを作ろうとしています。これに入るとプログラムに参加したレジデンス施設には日本のどこで滞在制作ができるのかすぐに分かるようになります。つまり孤立している日本のレジデンスプログラムをネットワーク型にすることにより世界とつながるように組み替えることです。空間やシステム、また活動的にも今ある状況を読み取って自分が創造し参加することにより、その創造のプロセスにある因子を組み込んでいく事をしてきているのだと思います。
鈴木:  webを拝見すると海外のアーティストもかなりいらっしゃっていますよね。
中村:  有料プログラムと僕たちが招待するものと2種類があります。3331の裏にマンションを借りているので、有料の場合であれば、その家賃とスタジオ代を払ってくれれば東京のど真ん中で制作が出来きるので相当な人気です。

その他にもワークショップ系のプログラムがあります。3331のエントランス辺りに「かえるステーション」と言って、子供がいらないおもちゃを持ってきて欲しいおもちゃと交換できるというプログラムがありますけど、これが爆発的に受けている。こういう親子も呼べるような使い方のイメージをもちつつも、あまり作りこみすぎないことが重要だと思います。



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