講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3.ショップ・喫茶店運営を通して
鈴木:  クラフトショップのようなものをされていて、ここが拠点になっていると伺っていますが、それはどのようなきっかけで始められたのですか?
三澤(文):  兄家族が引っ越して、今の事務所を建てたことが発端です。もともとガレージでしたが、事務所に直して5年間ほど使っていたスペースです。

私たちとしては使いあぐねていて、近所の人と雑談がてらに、道に面しているからお店なんかがいいよね、喫茶店なんかがあったら楽しいよね、誰かやってくれる人いないかな、と話していたんです。私やりたい、と手を挙げた近所の奥さんがいたので、じゃあやってみようかというのりで始めました。近所の方々が集まって、子供の相談をしたりどこのお店の何が安いとか情報交換をしたり、おしゃべりの場になっています。私としても地元のことには疎いので色々と助かっています。
松村:  この辺に喫茶店はないんですか?
三澤(康):  ありませんね。ニュータウンとしては地区センターがあって、それ以外は住居専用ということですから。でも人が集まって40年も経つのに、低層住居専用地域だから飲食店はありませんというのも不自然な気がします。
三澤(文):  どの家庭でも友達ができるきっかけは、子供を介してですよね。私もそうして友人ができて月1回の定例飲み会をしていました。今はこの喫茶店から広がった人間関係も増えましたが、ここでのパーティーをみんなが楽しみにしているようです。小さな子供たちを遊ばせておきながら、親たちが自由におしゃべりできるような場所は案外ありませんから。
松村:  職場だから気兼ねなく来られるのでしょうか?居間やダイニングだと気軽に集まるというわけにはいきませんよね。
三澤(康):  土足だからすっと入れる気楽さがあるんじゃないでしょうか。
三澤(文):  私もそう思います。この実体験があるので、住宅でも土間の部分を造りたいと思うようになりました。靴を履いている方が動きが活発になるので、特にお年寄りには土間を造ってあげた方がいいように思います。
鈴木:  ここ以外にもこういった場所はあるのですか?
三澤(康):  最近はプライベート・レストランの存在を耳にするようになりましたね。そういう空間がニュータウンの中にもっとあっていいと思います。ニュータウン再生を計画する際には、そういったことも考えていただきたいと強く思っています。



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