講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


集合住宅歴史館,KSI住宅実験棟感想



「楽隠居」の見学後、隣接する都市機構の施設である「集合住宅歴史館」と「KSI住宅実験棟」を、鈴木先生、西田先生と一緒に見学しました。両先生に見学した感想を、建築計画学の観点から書いてもらいました。



同潤会,テラスハウス,晴海高層アパート……,集合住宅歴史館は,日本人が近現代の短い時代の間に,様々な生活の器を試行錯誤で生み出し暮らしを営んできたことを教えてくれる。できれば建っていた現地でこれを体験できたらもっとよかったと思うが,それでも歴史を消す歴史を繰り返してきた我が国において,こうした住空間を追体験できることは貴重であり,関西にもぜひ同種の施設が欲しいところである。

KSI住宅実験棟では,パーティション系,設備系等様々な興味深いインフィルを見ることができたが,この道の第一人者である松村氏によるとまだまだ課題はあるとのことであった。松村氏のつっこみを聞いてしまった職員の方が,次から自信をもって説明しにくくなったのではないかと人ごとながら気になってしまった。(鈴木



どうも建築の設計はスケルトンそのものに注目しすぎるのか,その中身のインフィルや建築を包んでいる都市までは発想が及んでいないことも多い。スケルトンとインフィルという考え方は,それよりも一歩出た発想で,インフィルも同時に考えている点は評価できる。しかし,インフィルは短期使用で自由に変えられるものという前提に少なからず疑問を感じるのと,そもそもインナーとアウターのようにきれいに分かれるというのも何となくしこりが残る。私にとって集合住宅歴史館が持つ重みは,その様なしこりを払拭してくれるもので,代官山アパートや晴海高層アパートは,その時代を生き抜いた空間の魅力を今でも放っていた。(西田


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